私見

圧力団体という幻想

いまさら日本医師会内部で政権交代が起こっても社会にはなんのインパクトもないし,たいしたニュースにならないだろうと思っていたのですが,けっこう大きく取り上げられていたのは意外でした。そもそも自前で推薦した候補も当選させる力もないわけで,医師…

日本医師会も政権交代

本日行われた日本医師会の会長選挙は,原中氏が当選した模様。周知の通り与党となった民主党に近い方です。個人的には,近い将来民主党とか自民党といった枠組みそのものが大きく変わる可能性だってあるわけで,現時点の特定政党への影響力なんてどれだけ意…

医師会と行政

個人が行政と個別に交渉するというのは負担が大きいし条件も個人にとって不利になりがちですから,所属している地域の医師会がこれを代行してくれるのはひとつのメリットといえます。そのかわりに,医師会運営に関わる雑用や,場合によっては行政からお願い…

山本病院事件の教訓

山本病院事件で医師の医療行為が犯罪として問われたことは大きな話題となりましたが,おそらく今後は過失致死として司法手続きが進められ,それに追随した行政処分が下されることになるのでしょう。報道された内容が事実だとすれば,当該医師は福祉行政を悪…

許容できるプラセボ

外来を受診する患者さんが医療者に提示する訴えは,必ずしも実際に抱えている問題と一致するとは限りません。よくあるのは「具合が悪いから薬を出してほしい」と要求していても,医療者からみると薬の投与ではなく,それ以外の対処をすべきであると思われる…

分断政策への対応

患者本位と称する政策が,医療側への負担を強いるだけでなく患者さんにとってデメリットのほうが大きくなってしまう,という現象がしばしば見受けられます。これに対して医療者側の負担が重いことを声高に主張することにより,患者さんに対する「医療機関=利…

医療行為と業務上過失致死

奈良診療報酬詐欺:山本被告と医師逮捕、患者出血死関連で - 毎日新聞 cache 県警は当初、生活保護受給者に心臓カテーテル手術をしたように装い、診療報酬をだまし取ったとする詐欺容疑で山本容疑者らを逮捕。その後、不必要な手術で男性を死亡させた疑いが…

権威に対する態度について

世の中に起きていることや社会のしくみについて個人がそれぞれ独力で知識を得て理解したうえで判断するなんていうことはあまりにも非効率的だし,それ以前に物理的時間的制約から不可能です。したがって,それぞれの分野にいる専門家がこれまでの知見を集約…

事実とストーリーは対立しない

客観的な事実や証拠を重視することと,患者さんにとっての主観・ストーリーを重視することを対立した概念と捉えて,後者がより重要であるという主張があるようです。患者さんが持つご自身の病気についてのストーリーを重視するという手法はたしかにあります…

後知恵批判への反論

WHOが製薬会社と結託してパンデミックを煽ったとの批判があるらしく,それに対する反論が公式サイトに掲載されていました。 WHO、製薬会社と癒着?新型インフルで欧州会議が調査 - 朝日新聞 同会議保健衛生委員会の委員長で、感染症を専門とするドイツ人…

新刊回収の真犯人

『新型インフル禍の真犯人 告発! 死の官僚』回収に関するお詫びとご報告 - 講談社 cache 出版部としては、新型インフルエンザの実態を国民にできるだけ早く伝えるため、緊急出版することにし、そのため厚生労働省医系技官の著者・村重直子氏からお話をおう…

貧困への公的助成

貧困への公的助成を行うさいに,現金で渡すと必要な生活費等ではなく娯楽やアルコール購入に使われてしまうという問題があり,したがって一定の目的以外に使用できない工夫が必要であるという主張があります。確かに公的支出が不適切に使われているのは税を…

白衣を脱いだ医師

「脱・白衣」広がる 子の緊張和らげ、清潔な服で診察 - 朝日新聞 医者のトレードマークとも言える白衣を診察室で着ない医師が、小児科や心療内科を中心に増えている。患者の緊張感を和らげる効果や動きやすさ、衛生面など狙いは様々。中には「患者中心の医療…

自己決定とパターナリズムのあいだ

総合診療誌JIM1月号に掲載されていた内田樹氏と岩田健太郎氏の対談を読みました。冒頭から「インフォームド・コンセントはダメである」と断言してしまうあたり,医学雑誌としてはかなり刺激的です。内田氏によればインフォームド・コンセントという概念その…

実態と調査結果の乖離

実態としてルールが遵守されていない,むしろ遵守していたらシステムが成立しないような状況において,「ルールは遵守されるべきである」という建前によって実状把握が妨げられたり,もし把握しても公にして改善に結びつけることができないことが多々あると…

技術的な話をするなと言われても…

制度をよくしていこうという話をしているときには,その制度を運用していくうえでの技術論に言及しないわけにはいかないと思うのですがどうでしょうか。そういえば医療訴訟の問題を議論しているときに,医学的な話をされても分からないという物言いがついた…

事業仕分けの極個人的感想

事業仕分けの様子をいろいろな媒体で観察していましたが,結局のところあれは例年予算編成の際に行われている「財務省による各省庁の評定」であって,今回公開されているのはそのうち比較的差し障りのない部分なんだろうと想像します。もっとも差し障りがな…

報道ステーションを見てみました

足立政務官が出演するとのことで報道ステーションを見てみました。 新型インフルエンザの流行が進み、ワクチンの接種を多くの人が望んでいるなか、ワクチンの接種回数に関し、一部の専門家と国の意見が分かれている。専門家の意見交換会(16日)では、20…

医師優遇税制と言っても

事業税優遇廃止案が浮上=開業医の診療報酬−来年度税制改正、政府・与党 - 時事通信 2010年度税制改正をめぐり、開業医の報酬に対する個人事業税(地方税)の非課税措置を廃止する案が政府・与党内に浮上してきた。政府税制調査会(会長・藤井裕久財務相…

医療の限界と代替療法

現時点での医療レベルで積極的な治療ができない状態の患者さんに対して,作用機序が不明でエビデンスに乏しい代替療法であっても有意義であるという主張は以前からよく耳にするところです。ただ積極的な治療ができない場合に行われる対症療法に関しても作用…

新型インフルエンザワクチンの集団接種

学校などでワクチン集団接種、厚労省が容認 - 読売新聞 新型インフルエンザのワクチン接種について、厚生労働省は8日、都道府県や政令市などの担当課長を集めた会議で、学校や福祉施設での集団接種を認める方針を示した。 新型インフルエンザのワクチンにつ…

出来ることと出来ないこと

何も医療に限った話ではありませんが,出来ないことを出来ないと判断して表明するのは専門家の仕事だと思っています。出来ないことを出来ると言うひとがいたときに,そこに関してはきっちりとツッコミを入れるのもまたその一つなんでしょう。その一方で,結…

官僚にも成果主義導入?

選挙を控えて政策論争も盛んですが,民主党からはこんな方針も出てきた模様です。 民主が官僚人事見直しへ…成果と評価を直結 - 読売新聞 政策背番号制」は、各省が実施する政策に、どの担当者が関与したかを記録する制度だ。 当面、課長以上を対象とする方向…

法廷における「事実」

訴訟に関する当方の知識は多分社会一般の水準ないしそれ以下と思われますのでおかしな点があればご指摘頂きたいのですが,裁判というのはそこで認定された「事実」に基づいて判断を下すところであり,提出されなかったりもしくは認定されなかった情報はなか…

新型インフルエンザ騒動の沈静化

もはや報道される感染者数と実態が相当かけ離れているだろうことは推察されるところですが,報道の扱いも当初と比べると着実に小さくなってますね。インフルエンザの沈静化とインフルエンザ「騒動」の鎮静化は別物,ということなんでしょう。別に騒げばいい…

臓器移植法案について思うこと

先日衆議院で臓器移植法案のうちA案が可決されました。折衷案のD案ではなく4つの案のなかでは最も先鋭的なA案が可決されたのは当方には意外でした。衆議院の中のひとにとっては「臓器移植によって命が救われる」というメッセージが最も社会に受け入れられる…

不確定要素の取り扱い

現実を人間が認識するときには,測定の誤差とかゆらぎといった不確定な要素が含まれるのを完全に取り除くことはできません。とはいえ,何らかの行動を起こす(あるいは起こさない)ためには,不確定性が多かれ少なかれ含まれた「事実」をもとにして,どこかに…

マスクに対する認識

インフルエンザ流行時におけるマスクの意義は,自分がウイルスに感染している場合に他者に咳やくしゃみの飛沫を浴びせないようにすることと,感染していない方にとっては飛沫により感染を受けるリスクを下げることであって,感染している方や感染している可…

過剰反応によるデメリット

海外渡航中に新型インフルエンザに感染したことが判明した方々に対する過剰反応の一端が先日報道されていました。「帰ってくるな」とか「なんで旅行なんか行ったんだ」なんていう発言は,住民すべてを代表するものではないにしろ,冷静さとか理性的な判断と…

冷静な対処を

社会的に大きな混乱が予想される事態が生じた場合には然るべき方々が「冷静な対処をお願いします」と呼びかけるのが常ですが,では冷静ではない対処とはどんなものなのか考えてみると例えば,ちょっとした発熱や体のだるさを自覚したとき「これはニュースで…