官僚的答弁

各所で話題となっている枝野議員と柳沢厚労相との質疑応答ですが,なぜか取り上げた報道機関は現時点では見当たりません。「産む機械」云々と言葉尻を取り上げるよりも本質的な意味で厚生労働大臣としての資質に欠ける根拠になると思うのですが。以下,中間管理職さんの勤務医開業つれづれ日記より引用します。

枝野 「助産師不足なら看護師を活用すべき。頑張るべきは現場ではなく厚労省である。現場の看護師や医師に責任をおしつけるべきではない。足りないものを養成するのに何年かかると思っているのか? 違法とするなら、養成できてくるまでの期間はどうすればいいのか?」

厚労相厚労省としては看護師に助産師の資格を取ってほしい。また休業助産師を再教育して即戦力としたい。同時に拠点病院を中心としたネットワーク化で効率化したい。」

枝野 「現場の病院はどうすればいいのか答えてもらっていない。人手は足りない。H22になっても1000人の助産師さんが足りない。今回は起訴されなかったが、次は起訴されるかもしれないという不安を現場に押し付ける結果になっている。」

厚労相ネットワーク化すればいい」

枝野 「助産師さんは拠点病院にだけいればいい存在ではない。出産の場である診療所にも必要。充足するまで違法と打ち捨てるのは無責任だ。」

厚労相 「とにかくネットワーク化、効率化だ。出生数が減っているから仕方ない。」

枝野 「医療現場にしわ寄せがいっている。総理はどう考えますか?」

安倍総理 「今回の起訴猶予は構造的問題でもあり、個々の問題でもある。助産師が足りないのは事実。助産師養成・発掘(とはいってないが)ネットワーク化、派遣医師の支援をしたい。」

問題点を相当絞って具体的に尋ねているのに対して何か解決策を講じているのであればそれを回答すればいい話で,「ネットワーク化」などという実体を伴わない横文字を並べておけばよく分からないまま納得する程度の知能だと思われているのならはっきり言って不快です。実際のところは「解決する方法は考えていないし考えるつもりもありません」を官僚的言辞に変換しただけなのでしょう。

こうした答弁も,これまで医師不足医療崩壊に始まって多数の問題に対して厚生労働省ひいては行政のとってきた態度から考えればなんら想定外ではないのですが(根本的解決を行う予定であるとか答弁されたらむしろビックリです),それを国会という逃げも隠れも出来ない場で引っ張り出したことは無意味ではないと思います。ところでこの件に関して新聞各紙がほとんど取り上げないのは1年前ならともかく,単なる認識不足だけなんでしょうか。