ミラノ基準


何年か前に某大学移植外科(ほとんど特定されてしまいますが...)の先生からお話を伺ったときは,肝癌合併肝硬変の移植に関しては局所治療でも塞栓療法でもいいから腫瘍数を基準内に減らしておけば保険適応になりますから紹介してください,と自信たっぷりだったのですが,その後こんなことになっていました。単純に考えて局所治療ならともかく塞栓療法で完全に腫瘍細胞が根絶されるとは限らないわけで,基準以内と言い張るのもどうなのかとは思いましたが,そもそも基準自体を重視していないのだろうと個人的には解釈していました。

 肝臓がんで生体肝移植を受けた後、公的医療保険が不適用と判断され、数百万〜千数百万円の医療費を請求されるケースが相次いでいることがわかった。

 主な病院だけで2004年以降、移植を受けた99人中、18人が不適用となっている。これらの患者に対しては、医師側が手術前に「保険の適用対象」と説明していることから、最終的に医療費を病院が肩代わりせざるを得ないケースが続出すると見られる。専門家は、国の適用基準があいまいなのが原因と指摘しており、患者や家族が6日、厚生労働省に見直しを申し入れた。

 生体肝移植の実施例が多い病院に読売新聞が聞いたところ、04年以降に保険不適用となった患者は、東大病院で37人中6人、岡山大病院で25人中6人、北海道大病院で17人中3人、名古屋大病院も20人中3人。

"(cache) 肝移植後に「保険不適用」: YOMIURI ONLINE


保険適応の条件の一つに腫瘍径と腫瘍数があり,基準が決まっています。ミラノ基準という奴ですね。

 大人の肝硬変・肝臓がん患者に対する生体肝移植の保険適用は04年から始まった。厚労省はこの際、保険は原則として、移植後の生存率が高い患者に適用するという方針を取り、国際的基準をもとに「3〜5センチのがんが1個、または、3センチ以下のがんが3個以内」という基準を定めた。


「3〜5cm」というのが引っかかりますがそれはいいとして...治療後の肝癌をカウントするかどうかについては,あれだけ大丈夫だと断言していたからには確証を取り付けていたんだろうと思ったのですが,あっさり切られるとは不思議な気もします。いつものハシゴ外しなんでしょうか。あまり詳しくは知らないのですが...。