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僻地もいろいろ


日本全国で医療が崩壊しています。具体的には医師の退職により外来や病棟での診療が維持できなくなり,その地域で受診ができなくなる,あるいは制限されるという結果だけが報道されます。過酷な労働環境とそれに見合わない給与,訴訟リスクによるストレス,モチベーションの低下という背景は多かれ少なかれどの医療機関にも共通するのでしょうけど,実際はそうした状況に対して医師本人だけではなくその同僚,上司,病院スタッフがどのように対応したのかという点が決め手になっているように思います。そしてそういう内情は病院関係者や知人以外にはあまり伝わりません。

自分が勤務された,あるいは内情を知った医療施設の報道記事を見聞きした方は「事情も知らないのに勝手な推測をしている」という感想をお持ちになったこともあると思います。ですから当方としても憶測でものを言うことで本質から外れた議論をしないよう,極力気をつけたいと考えています。

 【士幌】常勤医四人のうち三人が三月末で退職することになった十勝管内士幌町国民健康保険病院(安達博昭院長、六十床)は九日までに、後任の内科医二人と外科医一人を内定した。

 同病院の常勤医は内科医三人、外科医一人。このうち内科医二人と外科医一人の計三人が「都市部の病院に移りたい」などとして三月末での退職を申し出ていた。

 町はこれを受け、給与を引き上げて常勤医を募集したところ、定数を超える応募があった。

3人が退職の士幌国保病院 後任医師が内定  2007/03/10 北海道新聞


僻地病院の常勤医が退職して自治体が募集をかけるというのはどこでもある話ですが,応募があった(しかも定数を超えて)ケースはあまり聞きません。実際少ないのだと思いますし,珍しいからこうしてニュースになるのでしょう。「給与を引き上げて」としか記事には書かれていませんが,他にも勤務しやすい環境への配慮がなされたかどうかは推測の域を出ません。この辺りをもう少し掘り下げた取材をすれば,真に必要な対策というものが多くの病院に共有されて医師にとっても病院にとっても,回り回って患者にとってもメリットはあると思うのですが,「医師が給与のみで病院を選んでいる」という認識を上塗りするだけの記事に止まっているのが残念です。