「真実」の究明2

 被害者の視点を忘れずに産科医療について考えるシンポジウムが28日、大阪市内で開かれた。産婦人科病院「堀病院」(横浜市)と奈良県大淀町の町立大淀病院の医療事故の被害者遺族らが参加。産婦人科医不足の原因に被害者らによる訴訟の多さも理由とする声があることに、「被害者が裁判を起こすのは医師側があまりにも不誠実な場合だ」「医師もなぜ医療事故が起きたかを考え、再発防止に努力してほしい」と訴えた。
 堀病院の被害者遺族は「医師不足は問題だが、事故の被害とは別だ。医療側はまず事故の真相を究明してほしい」と語った。大淀病院の被害者遺族も「(事故が起きた理由など)真実を知りたい。そして二度とこんなことが起きてほしくない」と涙を流しながら話した。

産科医療シンポ:被害者の視点忘れずに…大阪で開催 毎日新聞(cache)


医療事故の真相を究明する,という理由で訴訟を起こす事例をよく報道で見聞きします。以前のエントリでも述べましたが,個人的には裁判というのは医療事故における「真実」を追求する場としては適切でないと考えています。当事者あるいは身内の方が医療事故によって生じた結果(患者さんの死亡,あるいは不可逆的な障害など)に納得されないというのは心情的にはあって当然だと思いますが,裁判の結果が信じている「真実」と異なる場合簡単に承服できるものなんでしょうか。

医師不足は問題だが、事故の被害とは別だ。


こう仰る方は,「医師不足による労働条件の悪化とは関係なく,医師個人の技量不足が原因だ」という「真実」以外は納得していただけないのかも知れません。