医療崩壊を受容する
医療崩壊に対する自分の見方はこの1年ぐらいでだいぶ変わったと思います。過去のエントリを見返してみると医療政策や報道にツッコミを入れつつもまだ引き返せるんじゃないかという希望的観測を持っているのが分かるのですが,ここ最近は恐ろしいのであまり深く考えたくない自分がいるわけです。Yosyan先生によるネット医師の意識段階にあてはめてみると,だいたいstage3からstage4へ移行しつつあるといったところでしょうか。
段階 末期癌の段階説 医療崩壊への意識 第一段階 否認 医療崩壊の存在自体の否定 第二段階 怒り トンデモ医療訴訟やお手盛り医療改革への怒り 第三段階 取引 こうすれば医療崩壊を防げるの提案の摸索 第四段階 抑鬱 何をしても無駄だのあきらめ 第五段階 受容 生温かく滅びを見つめる涅槃の境地
医療の受益者である患者サイドの受容はいまだにstage1,医療崩壊の直接被害を被った場合でもstage2よくて3といったところで,医療サイドとの乖離は大きく,トラブルの原因となっているように思えます。これまで認識していなかった医療崩壊という現実を目の前にした方が,そんなことがあるはずはない,工夫や努力が足りないだけだろうと考える気持ちは理解できなくもないんですが,現実問題としてそういう段階はとうに過ぎているわけです。僻地にお住まいの方の中には理解されて仕方ないと諦めている方もいらっしゃるのですが,都市部に住んでいる身内とのギャップが大きくこれまたトラブルを引き起こすこともあります。