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医師不足の基準

診療 報道


「医師が不足している」というのは,素直に考えれば適正な診療に必要とされる医師の人員に比べて実際に勤務している医師の人員が足りないことを意味していると思います。かつて「医師不足」が顕在化していない時代*1であっても,医師が適正な勤務実時間を守ったと想定して医師の人員が充足していたわけではなく,統計に反映されない時間外労働でなんとか補っていたのが実態でした。ですから,現在問題となっている「医師不足」は新臨床研修制度によって急に生じたものではなく,ぎりぎりの状況が臨界点を越えてしまったと捉えるべきです。


医師:現行の診療体制維持なら4万人不足 厚労省統計(魚拓)
毎日新聞 2007年6月1日

 常勤医だけで現在の診療体制を維持するには、少なくとも約4万人の医師が足りないことが、厚生労働省の統計を基にした東北大研究チームの分析で分かった。全国の医療機関が報告した診療に従事する医師数の合計が、実際の医師数を約4万人上回っていた。報告は非常勤医も常勤医とカウントしており、常勤医の不足をアルバイトで診療にあたる大学病院の医師らが補っているためとみられる。日本は大幅な医師不足の状態にあることが、国の統計から裏付けられた形だ。


病院あたりの医師数と言えば普通は医師あたりの勤務時間から計算(半分勤務すれば0.5人というように)するとばかり思っていましたが,「医療施設調査・病院報告」というのは非常勤も常勤としてカウントしているようです。具体的に言えば週に1回だけ当直のアルバイトをしていても常勤医一人分にカウントされているということになるんでしょうか。これでは実態と乖離が生じるのは当然です。

ただ「医師・歯科医師・薬剤師調査」と乖離があるから医師不足,という理論だと「医師・歯科医師・薬剤師調査」による医師数が適正であるかのような印象を受けますが,本当にそうなのかはまた別の検討が必要です*2。この報告で分かることは,厚生労働省の内部で基準の異なる統計が存在するという事実と,病院での診療において非常勤医師が相当の比率を占めているという推測*3ぐらいだと思われます。

*1:ほんの数年前ですが...。

*2:昨年7月の「医師の需給に関する検討会報告書」は「医師・歯科医師・薬剤師調査」を根拠にしていましたが,実態を反映しているとは思えませんでした。

*3:これはこれで問題があるのですが。