医師派遣制度の進捗状況

 地域の医師不足や診療科ごとの医師偏在を解消するため、厚生労働省は地域が進める医師確保策を支援する態勢づくりに乗り出す方針を固めた。医療関係者でつくる「地域医療支援中央会議(仮称)」を同省内に置き、都道府県に具体策を助言するほか、医師数に余裕のある地域から不足している地域への人事異動あっせんも検討する。8月中にも厚労、文部科学、総務の3省連絡会議に提案し、来年度予算の概算要求に盛り込む。

 「中央会議」は国立病院機構日本赤十字社済生会など全国に展開する公的病院の理事長や院長らで構成。早ければ今年度中の設置をめざす。

 病院間の連携など医師確保の成功例を各地から集め、対策が進まない地域に情報提供や具体策を助言。有識者を派遣して直接指導することも検討している。都道府県だけではどうしても医師のやりくりが困難な場合、余裕のある地域から医師を送り込むなど全国レベルの人事異動をあっせんすることもありうる。

 厚生労働省は11日、政府、与党が乗り出した医師不足対策の一環として、医師派遣の具体的なルールを盛り込んだ新たな制度「緊急臨時的医師派遣システム」を決めた。

 医師派遣を要請できる病院の要件は「過去6カ月以内に休診に追い込まれた診療科がある」などで、人材は全国規模の病院グループに提供を求めたり、医療機関の退職者から公募したりして集める。12日以降、新制度に基づいて都道府県から派遣要請を受け付ける。

 医師派遣先の要件は(1)2次医療圏内の中核病院(2)過去6カ月以内に休診に追い込まれた診療科がある(3)大学に派遣を依頼しても医師を確保できない−など。

 これらの要件について都道府県が検討し、派遣が必要と判断した場合に厚労省に要請。同省などがあらためて必要性や優先順位を検討する。


引用した二つの記事は,上が昨年8月21日の朝日新聞*1,下が今月11日の東京新聞(cache)です。いずれも要旨は「病院のあいだで医師を融通して何とかしなさい」ということであり,約一年経っても基本は変化していません。「何も対策はありません」と言うべきところを,厚生労働省の官僚的言辞を駆使するとこういう表現になるのだと個人的には解釈しています。そう考えると「緊急臨時的」というのはある意味自虐的なギャグのようにも思えてきます。

*1:キャッシュが見つからなかったので以前のエントリから引用。