焼け医師に水


新聞の社説というものは大概周回遅れと相場は決まっているのですが,ネタとして取り上げてみました。

医学部の定員という蛇口を閉めたままで、あれこれやりくりしても、焼け石に水ではないか。

医師の確保―医学部の定員を増やせ(cache)


「焼け石に水」というのは熱く焼けた石に少しばかりの水を掛けても一向に冷めないように、援助や努力の力が僅かで効果が上がらないことの喩えですから,蛇口を少しばかり開いても意味がないんじゃないでしょうか。そういう意味ではこの文章は実態を的確に表現しているといえます。

この比喩をそのまま使わせていただくなら,石が真っ赤になるまで熱せられている原因となっている火を消さないと石を冷ますことはできないですよね。つまり病院から医師が次々に脱出している原因,具体的には労働環境とか訴訟リスクなどを何とかしなければならないという結論になるべきだと思います。あと,石を焼いている火に燃料を注いだのは誰なのか,自分の胸に手を置いてよく考えて欲しいものです。

ここまで書いて気が付きましたが,「焼け石に水」って,「石」=「医師」という掛詞になっているんですね。さすが文筆を生業とする方は文章の一つ一つまで気配りがあって素晴らしいです。