特定検診制度の謎


先日特定検診/特定保健指導に関する説明会があったので出席してきました。この時期になってもまだ不確定事項があるらしく関係者も対応に苦慮しているようですが,今の時点で分かっている範囲でも聞けば聞くほど謎の多い代物です。

去年あたりから医療ブログ界隈では情報が飛び交っていましたが,正直なところ,メタボリックシンドロームを早期に拾い上げて予防すれば医療費が節減できるなんてまるで根拠がない話で,やるだけやって効果がなければいつのまにかフェードアウトするんだろうぐらいの認識でした。

そのあたりはしっかりと対策が講じてあって,5年ごとに数値目標が評価されて,達成できないと後期高齢者支援金が減額増額されるというペナルティを食らうことになっています。そもそも何故ここで後期高齢者の財源が持ち出されるんだという気もしますがそれはさておき,目標は下の通りです。


http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/info02_02.pdfより


目標の設定根拠が「5年間で100%を目指すべきという考え方もありうるが,どうしても健診を受けられない環境にある者,受診を希望しない者等も考えられることから,80%程度で頭打ちになると仮定」というあたりも香ばしいですが,「H27時点でH20に比べ25%減少という政策目標から,H24時点の目標値を算出」ということですから,これらの数値目標は特に根拠のない政策目標から逆算して算出した数字のようで,実行できる可能性を検討した形跡は見あたりません。

本当はこの表のほかに保険者ごとに異なる数値目標が設定されていて,被雇用者は事業主検診があるからということで国保にハンデがつけられていますが,それもかなり恣意的な数値に思えます。市町村国保で検診実施率65%ってほとんど無理じゃないでしょうか。



ほかにもツッコミどころは山のようにあるのですが,この制度が,真っ当な検討なしに脳内で生み出した妄想なのか,あるいは当方には想像もできない深遠なる目的*1があってのことなのか,判断に苦しみます。誰か詳しい方はご教示頂けると幸いです。


 

*1:ビジネスチャンス創出あたりはなんとなく想像がつきますが。