医療制度の行く末を決めるのは誰か


産科医療のこれから - 医療制度崩壊の元凶  高村薫


地方紙の記事をWebにあげて頂いた僻地の産科医先生に感謝します。お陰様で素晴らしい文章を読むことができました。筆者の的確な現状認識と分析にも感服ですが,個人的には次のくだりに感銘を受けました。

国の財政削減の方針がそのまま医療政策に適用された安易さも、国民生活の基本である医療を市場原理に任せようとした無謀も、要は、国民皆保険制度を守る強い意思が、国にも私たち自身にも欠けていたということではないだろうか。時代の状況や、医療の進歩に伴う経費の増大に合わせて、医療制度のあるべき姿は常に変わってゆかざるを得ないのに、そのための合意を私たちは一度もつくってこなかったのではないか。

結局は当事者意識が必要と言うことですね。医療崩壊の報道を目の当たりにしたときに,これは自分以外の誰かが悪いからと考えていてはそこで思考停止です。医療者はもちろん,行政,司法,報道に関わるひと,医療を受けているひと,そしていずれ将来医療を受ける可能性のある全てのひとが,ここで言う「私たち自身」に当てはまるのだと思います。

追記(2008-02-26 7:10)

この記事に関してid:physicianさんのコメント欄でされていた考察がちょっと面白かったです。

たぶん、編集者が適当にネームバリューだけで原稿頼んじゃって、期待していた評論とまるで違うことを書かれてしまったのではないでしょうか。きっと、編集者は焦ったに違いないでしょう。だって、高村氏にダメは出せませんもの。で、おそらくは不本意ながら載せた、と。

本当にそうかは分かりませんがいかにもありそうな話で笑ってしまいました。