公立病院改革ガイドラインの人柱


総務庁が公立病院の赤字増大を踏まえて公立病院改革ガイドラインを策定したのが昨年12月のこと。東北ではそれに先んじて人柱として名乗りを上げた自治体があったようです。このガイドラインによれば地域病院の統合とネットワークにより経営の改善を目指す,とのことで,要は基幹病院を残して規模縮小し,支出を抑えれば赤字を減らせる目算です。しかし実際にどうなったかといえば…

伊関友伸のブログ - 診療所化の落とし穴/花巻の遠藤医師が本県にも警鐘 東奥日報

 隣県・岩手では、総務省公立病院改革ガイドラインに先駆けて病院再編が進んでいる。その一環として、二十七ある県立病院のうち五つを有床診療所化することになり、二〇〇七年度までに四施設が移行した。しかし収益が病院時代より激減し、経営改善に必ずしもつながらなかったことを、四施設の一つ・大迫地域診療センター(花巻市)の遠藤忠雄・副センター長が分析し、明らかにした。「総務省方針に従っても医療施設の赤字が減るとは限らない」。遠藤医師は本県にも警鐘を鳴らす。

 最大の要因は、入院収益が病院時代の20−30%に減少したことだった。診療所化に伴い支出も減ったが、損益を調べると、三施設は三百万−四千百万円の改善効果があった半面、一施設は五千六百万円悪化していた。

ということで,支出を抑える以上に収入が減ってしまったので経営は改善するどころか悪化したとのことで,誰の目にも大失敗だと分かります。そもそもが病院の統合とネットワークで経営が改善すること自体が机上の空論で,改革案が発表された当初から各方面のツッコミが入っていました。岩手の失敗例を検証してガイドラインを見直すなんてことを総務省に期待する方が間違いかも知れませんが,かすかに期待だけはしておきたいと思います。