特定検診制度の謎2


メタボ健診:自治体、冷ややか 直前なのに…「根拠十分」1割弱(cache) - 毎日新聞 2008/03/26


制度そのものがまだちゃんと決まっていないこともあり,なかなかメディアでまともに取りあげられない特定検診制度。そういう意味でこの記事は評価します。

特定検診でメタボを減らして医療費が削減できるという根拠はありません*1。これが単なる税金の浪費ならいつものことなんですが,微妙に後期高齢者医療制度とリンクしているのが曲者で,「メタボ削減」を達成できない保険者は「後期高齢者医療制度への拠出金増額」というペナルティーを受けるとのことです*2。どう考えても受診率の悪そうな市町村国保は一番のターゲットでしょうから,ますます高齢者への医療サービスの給付が抑制されるという目算じゃないかと思います。

その一方で検診や保健指導の市場も民間に開放されます。それだけでなく事業者検診を行っている企業に対しては「メタボ削減」によるインセンティブが与えられるわけですから,メタボ関連産業にとってはビジネスチャンス*3です。メタボ利権とでも呼べばいいのかも知れませんが,結局喜ぶのはこういう業者くらいなんでしょう。

それにしても昨年から検診実地に向けて自治体も準備しているようですが,とにかく決まっていないことが多すぎて情報に振り回されている状態のようです。市町村国保の分に関しては医師会と協力して検診率を上げようということで何回か協議をしているのですが,そのたびに微妙に修正された膨大な資料が作り直して渡される有様で,コピーの山がまるでゴミのようです。


 

*1:当方の勉強不足であればご指摘下さい。

*2:当ブログ■特定検診制度の謎をご覧下さい。

*3:具体的にはhttp://health.nikkei.co.jp/news/biyou/あたりが参考になると思います。