診療報酬改定FAQ


予想通りあまり来院しないので,空いた時間に厚労省HP「平成20年度診療報酬改定に係る通知等について」に一昨日公開された資料を眺めていました。


疑義解釈資料の送付について 全体版→http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/03/dl/tp0305-1bb.pdf


読んでいて少し気になったところですが…。

  • 電話による再診や遠隔医療を行った場合にも、外来管理加算は算定できるのか。
    • 「医師による直接の診察」に該当しないため、算定できない。

電話再診で「投薬のみ」では算定しないと明言しています。そういう患者さんの多いところは結構な収入減になるかも知れません。筋論としては「投薬のみ」好ましくないのは確かです。ただ現実問題としては,医療機関が「適正な受診」を勧めたところで,患者さんにとっては「投薬のみ」を希望するほうがが支払いが安くなるわけで,窓口でのトラブルが予想できます。

  • 後期高齢者診療料を算定する際に、健康診査や人間ドックなどで年間診療計画に定められている検査を行った場合、その検査結果を用いることで検査を行わなくても良いのか。
    • 診療録等にその検査結果を記載又は添付し結果を診療計画に反映すれば、新たに再度検査を行う必要はない。ただし、生活機能を含んだ評価は必ず年2回行うこと。

血液検査やレントゲンなどの後期高齢者診断料に含まれる各種検査は,患者さんが検診で行い,それをチェックすればよいとのことです。検査をすれば診断料の包括払いではまず赤字になりますから,医療機関にとっては「してよい」というか「せざるをえない」という状況だと思うのですが,そうすれば検査費用は保険診療ではなく全額自費負担という流れになるんでしょう*1。暗にそうしろとも読める文章です。ある意味,混合診療のようにも思えます。

  • 継続的に複数の診療所を受診している患者に対して、後期高齢者診療料を算定するのはいずれの診療所なのか。
    • 後期高齢者診療料は、糖尿病などの慢性疾患を主病とする後期高齢者に対して、継続的な診療を提供し計画的な医学管理の下に、患者の心身の特性にふさわしい外来医療の提供を行う取組を評価するものである。複数の診療所において当該主病に対して様々な診療が行われることは、当該患者が主病を治療するために、説明に基づく選択がなされた上での治療とは認められないことから、いずれの診療所においても後期高齢者診療料は算定できず、出来高で算定することとなる。

以前から言われていたように,かかりつけ医が患者を囲い込む制度*2ということなんでしょうけど,今の段階では囲い込まなくても従来通りの算定が出来るので,かかりつけ医に手を挙げるメリットはあまりないようです。ただし今後,非かかりつけ医の診療報酬を制限して,各種管理料がとれないようにすれば*3,かかりつけ医に追い込めるんでしょうし,厚労省がそうすることも十分予想できます。


といった感じでかなり悲観的な予想をしています。それは心配しすぎだよと指摘して頂ければ少し安心できるのですが。制度が破綻して空中分解するという可能性もありますが,そうなれば更に斜め上の政策を繰り出してくるかも知れません。

*1:そういう流れになれば「じゃあこんなにはいらないね」と言ってさらに包括払いを下げてくるでしょう。

*2:同時に縛り付けられる制度でもあります

*3:オンラインレセプトが導入されたらチェックは容易になるでしょう。