メディアとブログ


既存メディアによる医療報道がどうにも周回遅れであることについて最近ふと思いついたことですが…。

メディアも営利企業ですから「まっとうな記事を伝える」ことが企業としてメリットがあると判断すればそうするでしょうし,現時点でおざなりの報道が続いていることからすると,現場はともかく経営側としてはそう考えていないということになります。たとえ記者本人が問題意識を持って熱心に勉強していても,それが実際に報道されなければ影響力は生じません。

そういう意味では,キャリアブレインという会社の医療記事配信サービスのやりかたは興味深いです。昨年あたりから医療記事に力を入れていて,他では報じられないような良質なネタが多く,医療系ブログにたびたび記事が引用されるようになっています。この会社の場合はもともと医師紹介業者ですから,医師に対して存在をアピールすることが最大のメリットです。1日のアクセス数が万単位のメジャーブログに紹介されたら宣伝効果としては相当なものですから,企業としては現在の路線を続ける充分な理由になっているんじゃないでしょうか。「まっとうな記事」を伝えることが企業にとってインセンティブとなるわけです。

こういうビジネスモデルがもう少し広く応用できるのかどうかは正直なところ分かりませんけど,頭のいい人が目をつければ何とかなるような気もするんですがどうなんでしょうか。

追記(2008-05-13 16:00)

僻地の産科医先生のところで知ったのですが,キャリアブレインの記事がYahooニュースで注目されているとのことです。当該記事は大手メディアでは軒並み無視されてましたから,事故調について広く関心を持っていただくだけでなく,こういう問題を扱わないメディアの姿勢も問題視されるようであれば,いいことだと思います。