医療事故調への抵抗勢力


医療事故調設置法案の提出見送り,という記事です。


<医療事故調>設置法案、今国会提出を断念へ 厚労省 cache

厚生労働省は、医療死亡事故の死因を究明する第三者機関「医療安全調査委員会」の設置について、今国会での関連法案提出を見送る方針を固めた。4月に試案を公表し、早期の国会審議を目指していたが、医療界の一部の反発を受け、慎重姿勢に転じた。来週に法案の要綱を公表し、改めて国民の意見を募る。

医療安全調査委は、国土交通省に置かれている航空・鉄道事故調査委員会の医療版。医療者を中心に構成し、警察に先行して遺体の解剖や関係者聴取に当たり、報告書を作成・公表する。

厚労省が公表した試案について、日本医師会、日本医学会など主な団体は大筋で賛同したが、日本救急医学会全日本病院協会などが「責任追及と連動した調査は、医療の萎縮(いしゅく)を招く」などとして反対を表明していた。

一方、医療事故被害者らは5月に「原因究明と再発防止に必要な組織だ」として早期の国会審議を要望していた。99年の都立広尾病院事件で妻を亡くした「医療の良心を守る市民の会」の永井裕之代表は「設置が遠のくのは残念。秋の臨時国会で法案を成立させてほしい」と話している。【清水健二】


反発している「医療界の一部」にしても,第三者機関そのものの必要性については否定していない筈ですが…。キャリアブレイン以外には無視されていますが,ちゃんと学会側は記者会見を開いて見解を表明しています。

最後の医療被害者という方のコメントとあわせると,「患者を無視した抵抗勢力」と言わんばかりの記事です。このまま調査機関を設置したいというひとたちに「抵抗勢力」と見なされるのは仕方ないと思いますが,医療者だけでなく,医療を受けている患者さんにとっても不利益があると考えて反対していることは理解していただきたいところです。

「第三者機関なんか必要ない」と「設置しても事故の原因解明・再発予防に寄与せず,医療崩壊を助長するような機関なら作らないほうがいい」を同列にするような書き方は故意なのか過失なのか知りませんけど,「また毎日新聞」かどうかは他紙の報道を確認するまでとりあえず保留。