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軽症という名の地雷


診療所で進行癌が見逃されたとして民事訴訟に至った事例が報道されていました。病院で勤務していた頃には「見逃し」としか思えない事例に遭遇した経験もありますし,つい訴訟を起こされても仕方がないケースを想像したくなりますが,記事を読んでも「見逃し」の経過も詳細不明で,診察そのものに関しても情報が少なすぎるため,この事例に関しては評価は出来ないと思います。そのレベルの報道に何か意義があるのかという点では,どちらかというと報道側にツッコミを入れたいところではあります。


上の記事とは無関係にあくまで一般論として,自覚症状の軽い患者さんの病状が必ずしも軽症であるとは限らず,そういう意味ではいわゆる「町医者」のところを受診される患者さんのなかに重い病気の方が隠れている可能性があることは言うまでもありません。診察する側としても当然いろいろなことを念頭に置きながら診断を進めるのですが,その判断が不適切とはいえないものであったとしても,結果として不幸な結果に至ることはあり得ます。そうなる可能性を減らすような医師の研鑽と努力は必要であるにしても,100%避けることは出来ないでしょう。


最近では,総合医を養成して「軽症」の患者さんに対応させ,必要があれば専門医に紹介,という流れで医師会が動いているようですが,「軽症」の筈が結果として悪い転帰を辿った場合の訴訟を含めたリスクを考慮に入れておかないと,単に手間と金がかかるだけの実効のないシステムになってしまうおそれは大いにあるのではないかと思います。医師会幹部の先生方が想定しているのはもしかすると,癌が進行してから見つかるのが当たり前で手遅れでも仕方ない時代の開業医じゃないのか,とは当方は勝手に邪推しているのですが…。