後期高齢者医療制度の見直し


「後期高齢者医療を見直し」厚労相、年齢区分廃止など検討 - Yahoo!ニュース

舛添厚生労働相は19日、自民党総裁選で選出が確実視される麻生太郎幹事長が、新首相に選ばれれば、75歳以上を対象とした後期高齢者医療制度長寿医療制度)に代わる新制度の創設を検討することを明らかにした。

同日夜、東京都内で記者団に明らかにした。

舛添氏によると、同日、麻生氏と会談した際、舛添氏から「新政権で今後1年程度かけて新たな制度設計に取り組む」ことを提案し、麻生氏も基本的に賛同した。舛添氏は新制度について、〈1〉〈2〉現役世代と高齢者世代の保険料負担の不公平感を助長しない〈3〉年金からの保険料の天引きは強制しない−−の3原則を柱とすることも提案したという。

舛添氏は「後期高齢者医療制度はいい制度だが、国民の理解を得られておらず新しい制度を構築する」と述べた。「長期的には、医療と介護保険制度を一元化し、財源には消費税を充てる」との考えも示した。


選挙の結果次第では空手形となる可能性も当然ありますが,将来的にどんな医療制度を目指すべきなのかを争点にすることは望ましいことだと思います。個人的には現行の高齢者医療制度に関しては制度設計の理念そのものに賛成できないのですが,最終的にどのような制度にしていくかは,国民が判断するべきことでしょう。


ただしここでいう「新制度」が,これまでの制度を変更してまで導入するに値するものかどうかは検討が必要です。記事にある3原則のうち(3)は運用に関わるもので,制度設計に関しては(1)の「加入者を年齢で区分しない」ですが,年齢の代わりにどういう基準を用いるのかにより評価はまた変わってくるでしょう。(2)の「不公平感を助長しない」が微妙ですが,制度設計そのものを変更せず手当てを行う,と読めなくもありません。これも具体案が出てから評価すべきでしょう。


また,実現可能性を考えれば財源を示す必要があります。桝添氏によれば「長期的には、医療と介護保険制度を一元化し、財源には消費税を充てる」とのことですが,麻生氏の方針は「経済成長を優先して消費税は当面増税しない」だった筈なので,短中期的な医療費の財源については当方の知る限り明言されていないように思いますがどうでしょうか。


もっとも,野党が国民にとってより分かりやすい「厚生年金標準報酬改竄」を争点にしようとするなら,前回の国政選挙がそうであったように,社会保障問題が単純に「年金問題」に置き換わってしまうという可能性もありますが。