発達障害への誤解と偏見


発達障害の子どもたち (講談社現代新書)

発達障害の子どもたち (講談社現代新書)


自閉症ADHD学習障害などの発達障害全般について,一般向けに解説しています。一般向けといっても非専門分野にいる当方にとっては非常に有益でした。


早期にハンディキャップを認識して適切に対処すれば発達障害から回復したり軽症化して,社会に適応できる可能性が高くなるにもかかわらず,養育する場での専門的知識が不足していたり,発達障害への誤解・偏見が多い(ここでもやはりメディアの弊害が大きいようです)ために家族の対応も不適切であったりというのが実状のようです。本書を執筆されたのも,まずは正しい知識を,ということなんでしょう。


教育現場での意識の低さや専門性の欠如についても厳しく指摘されていますが,一方ではシステムの制約の中で学校も教師も頑張りすぎといえるほど頑張っているとも述べています。本書では触れていませんが,教育にかける人や金といったコストが抑制されていることが背景にあることは当方にも想像できます。


このあたり,医療だけでは効果には限りがあるという点において,介護の問題とも共通するところがあります。支援するための社会的なシステムが機能せず,往々にして周囲が本人と家族を追い込んでしまう危険性が高いのも両者に共通した問題であるように思います。