オンラインレセプト義務化問題


診療報酬「電子申請義務化は違憲」医師1000人が国を提訴へ - 読売新聞

「診療報酬明細書(レセプト)」処理の電子申請の義務化は、営業の自由を保障した憲法に違反するなどとして、神奈川県や東京都、埼玉県などの医師計約1000人が国を相手取り、電子申請義務の不存在確認と、1人あたり100万円の慰謝料を求める訴訟を21日、横浜地裁に提訴する。

原告団によると、厚生労働省令改正で2011年度から原則義務化される電子申請の合憲性を争う裁判は全国で初めてという。

原告団によると、レセプト作成専用のパソコンを導入するには300万円前後が必要とされ、経営が圧迫されている医師も多いという。訴訟では「これまで書類で申請できた手続きを電子申請に一本化することは営業の自由を侵害する」などと主張する方針。原告側弁護団の小賀坂徹弁護士は「地域医療の荒廃に拍車をかける」としている。

厚労省保険システム高度化推進室は「代行機関による一括請求などで負担は軽減される。手続きの軽減などメリットも多いので、理解を得たい」としている。

オンラインレセプトは請求側(医療機関)にはメリットがほとんどなく,むしろ支払側(保険者)の事務手続きを軽減するものだと認識していますが,にも関わらず導入に関する経費を医療機関に負わせるのは筋違いだと思います。だいたい請求側のメリットがあるのであれば義務化するまでもなく導入している筈です。


この問題を法廷で争うにあたって「営業の自由を侵害している」を争点にするのは戦術上どのくらい妥当なのか判りません。ただ,保険診療は義務ではないので営業の自由は侵害していない,と反論されたら分が悪いような気もするのですがどうでしょうか。もっとも判決の結果よりも問題提起することが重要と考えるならそれもありなのかも知れませんが。


国民皆保険を維持するために医療機関,保険者,患者,国民それぞれが何らかのコストを負担しているのが現状ですから,余計な負担は誰もしたくないのは事実でしょう。それでも,どこかにあまりにも過度な負担がかかることがあれば,例えば医療機関であれば廃業も含めて保健診療から退場するという選択もせざるを得ないわけで,そんな事態になれば結局は全体にとって決して利益にならないように思います。