東京都の迅速な対応


愛育病院の続報です。

「愛育病院は厚労省と調整へ」−東京都が見解 - ロハスメディカル

恩賜財団母子愛育会愛育病院(中林正雄院長)が総合周産期母子医療センターの指定を返上するとの意向を東京都に伝えていた問題で、東京都福祉保健局医療政策部の室井豊救急災害医療課長は25日夜に取材に対応し、愛育病院側と協議の場を持ったとした上で、「病院側は法律の解釈について厚生労働省と相談し、調整していくということになった」と話し、病院側が総合センターの継続に前向きな意向を示しているとの見方を示した。(熊田梨恵)

総合周産期センター指定、愛育病院が返上の打診を撤回 - 日経新聞

東京都港区の愛育病院が「総合周産期母子医療センター」の指定返上を都に打診した問題で、同病院の中林正雄院長は26日、報道陣に「都から返上の必要はないと言われた。その判断に従う」などと話し、センターとして指定を受け続ける考えを示した。事実上、返上の打診を撤回したことになる。

ということで,今まで通りの体制を維持するということで事態を収拾しようとしている模様です。果たしてそんなに都合の良い「解釈」が通るのかというあたりも興味がありますが,今回一番驚いたのは東京都側のきわめて迅速な反応です。なにしろ,おそらく発覚以前から水面下で進行していたであろうとはいえ,報道された当日の夜の時点ですでに病院側と協議して方針を決めていたのですから。これだけの問題処理能力があるのなら墨東病院の件あたりで発揮してほしかった気もしますが,推測するに,秘められた潜在能力が覚醒するためには何か秘密のアイテムが必要だったのでしょう。今回は労働基準法違反というのがそれに当たるのかもしれません。

追記(2009-03-26 22:50)

朝日新聞から続報が出てました。

愛育病院、一転して総合周産期センター継続を検討へ - 朝日新聞

同病院によると、26日に病院を訪れた都の担当者から、周産期医療の提供体制を守るために必要だとして継続を要請された。都側は非常勤の医師だけの当直を認める姿勢を示したという。

一方、厚生労働省の担当者からは25日、労働基準法に関する告示で時間外勤務時間の上限と定められた年360時間について、「労使協定に特別条項を作れば、基準を超えて勤務させることができる」と説明されたという。

中林正雄院長は26日の記者会見で、「非常勤医2人の当直という日があってもいいのか。特別条項で基準を超える時間外労働をさせても法違反にならないのか。都や厚労省に文書で保証してもらいたい」と話した。

責任の所在がハッキリするように書面を残させるというのはお役人にとっては嫌でしょうねえ。それにしても本当にこんなことが通用するとしたら労基法すら守ってくれないわけですから,医師が過重労働に対抗する手段は逃散くらいしかないということになりそうです。…ということは,いままでとあまり変わらないですね。