医師「宿直」問題というパンドラの箱


いつも拝見している産科医療のこれから参議院厚生労働委員会での質疑の模様が紹介されていました。最後の方から引用(一部体裁を変更)。

梅村聡議員(51:01) (前略)これによることでパンドラの箱をあけることになるかもしれませんけれど、いままさにここに切り込まないと、国民負担の問題にもつながってこないんです。医療費を増やすということにもつながってこないんです。ですからここは労働基準局からいうと今の制度の中でのしくみということを仰られますけれど私はここは勇気を持ってパンドラの箱を開けて議論をする時が来ていると思いますが、それに対して舛添大臣が取組むつもりがあるのか、そのパンドラの箱を開ける決意がおありになるのかどうか、最後にお答えいただきたいと思います。


舛添厚生労働大臣(54:47) 先ほど申しあげましたように、一人の人間が旧厚生省と旧労働省を大変な仕事ですがやっていることの意義がそこにあると思います。ただね開けようとしたときに「閉めろっ(>_<)!!」っていうのが物凄い圧力が外にはあります。しかしこれは国民のためを考えてきちんとやりたいと思いますので是非またそういう議論をこの厚生労働委員会でも続けていきたいと思います。私はこの委員会で非常に今朝ふたつの議論をさせていただきましたけれども大変この世の中を前に進める大きな原動力になっているということで嬉しく思っております。

「宿直」問題に代表されるような世間から隠されたコストが評価されないと適正な医療政策が立てられないのは確かです。そうすればこれまでに想定されていたより遙かに多くのコストを医療に投入しなければならないことが明らかになりますから,コストを負担する側にとってみれば開けてはならない「パンドラの箱」ということになるんでしょう。


でも「パンドラの箱」という例えだと開けなくてもすむものを開けて厄災を招くということになりますから,開けるメリットとデメリットのバランスが間違って伝わりそうな気もします。梅村議員の見解だと「開けても厄災を招くけど開けないでおくともっと取り返しのつかない事態になる」ということですから(舛添大臣も同様であることを望みます),もっと違う例えのほうがいいんじゃないかと個人的には思いました。