新たなる利権の誕生


ssd先生のところで紹介されていた読売新聞の記事より引用。

医師確保票になる - 読売新聞

国会議員医師不足に悩む地元自治体のため、医師確保に奔走するケースが出ている。医師の人数が限られる県内では確保が難しいため、公立病院を抱える自治体側も、東京など大都市とパイプを持つ国会議員を頼りにする傾向がある。医師確保はかつての公共事業のように、票に結びつく地元貢献の一つになりつつあるようだ。

国などとパイプもある国会議員でも、医師の確保は容易ではなく、自治体単独での医師の確保は不可能に近いと言えそうだ。北杜市の白倉政司市長は「産科医が全然足りず、市長になってから何度も厚生労働省に掛け合ったが、『足りている』の一点張りで話にならなかった」と振り返る。

県議の一人は「国会議員が医師を確保すれば、選挙の票にも結びつく」と指摘。打つ手がない自治体と、地元貢献をアピールしたい国会議員の利害が一致していると言えそうだ。

自分たちの住む地域の医師が不足しているからという理由で「医師の計画配置」に賛成されている方は,行政が医師の人事権を握ったら自分たちの地域に医師が派遣されることを当然のように期待しているのでしょうけど,おそらくは新たな利権が発生して別の「偏在」が生じる可能性があることはこんな記事を読むまでもなく予想可能です。期待していたような結果が得られなければそれはそれで文句を仰るんでしょうけど,いったん発生した利権がそう簡単に解消されるとは考えにくいところです。そうなればあとは頑張って陳情するくらいしかないんでしょうね。

仮に医師の人事権を行政が把握することになったとして医師として言いたことは色々ありますが,個人的な疑問としては,本当に最適な配置ができるのかどこまで考えているんだろうか,と思います。医師の技量や経験といった専門的見地に立った配置が難しいのは勿論ですが,単に頭数を揃えるだけの配置でも色々な「力学」が働くことは十分予想できます。配置を決める仕組みをよっぽど透明にしておかない限り,端的に言うと,政治力のある議員の地盤に医師が「偏在」するだけじゃないでしょうか。それでも「医者に任せるよりマシ」だというのであればそれはそれで仕方ないですが…。

医師の「自発的」な強制配置 - Dr.Poohの日記