民主党政権の医療政策への期待と不安


民主党の医療政策については衆議院選挙マニフェストや医系議員へのインタビューを拝見する限りでは,医療費を先進国並みに増やす,後期高齢者医療制度は廃止する,療養型病床削減は凍結する,官僚特に医系技官が主体の政策決定のプロセスを変える,といった主張がされています。内容的には評価できる点は多いと思うのですが,個人的には不安に感じる点がいくつかあります。


財源の問題については選挙前から指摘されていた通り,おそらく「ムダ遣い」の節約だけで賄えずに,国民への負担を求めなければならない場面がくるものと思われます。一応は公約違反ではない筈なのですが,その時点で「世論」の反発に耐えることができなければ,医療費の増額は実現できず,最悪,医療費を抑制する方向に向かわざるを得なくなるかもしれません。


政策決定のプロセスに関しても,以前「中医協は開業医中心なので診療報酬は国会で決める」と発言した幹部がいたように,まず現状認識が不十分ではないかという懸念もあります。これはキチンと把握している議員が政策決定に関与すれば修正されると期待はしています。


ただ以前に,まだ小沢一郎氏が党代表だった時点でのマニフェストでは医療費の増額には触れずに「ムダ使い」の削減を徹底する,という方針でした。医療費抑制に反対する議員は当時から民主党内にいた筈ですが,これだけ見るとそうした意見がどこまで政策に生かされているのかは疑問に感じます。選挙前には一転して医療費増額という方針に変わっていて,これが民主党内で認識の変化があった結果であればいいのですが,個人的にはいかにも付け焼き刃的な印象を受けたのが正直なところです。


おそらく当方が心配しすぎの面も多分にあると思いますが,政権発足後,実際の政策でこうした不安が払拭されることを期待しておきます。