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漢方と保険診療


漢方医学についてはエビデンスが充分に確立しているとは言えず,保険診療からは外すべきではないかという議論はかなり以前からあります。今回の事業仕分けで指摘されたのは,漢方薬にはOTCに同じものがあるからそちらを利用すればよく,保険診療で扱うのは医療資源の「ムダ」ではないか,という点であると理解しています。


あまり漢方を万能薬のように持ち上げるのも問題がありますが*1,逆に「毒にも薬にもならない」という扱いをするのも,仮にも薬理作用を持つ生薬成分が含まれている以上は抵抗があります。一定のエビデンスが示された製剤もあり,経験的な知見も含めて,多くの医師が漢方の診断体系の一部をうまく利用して診療に活用してきたのも事実です。


仕分ける方の「ムダである」という言い分も,仕分けられる方の「漢方は有効である」という言い分も,どちらも観念的にすぎるように当方にはみえます。具体的には,実際にどのくらい医療保険にとって負担になっているのか*2という点と,ここまで有効性は示されているけどそれ以上は分からない,という前提を踏まえ,その上で保険診療でどこまでカバーする必要があるのかどうかを議論しておく必要はあるのでしょう。


 

*1:本来明らかに行うべき治療が阻害されるのではむしろ有害でしょう。

*2:漢方がなければ代わりに何らかの治療が行われるだろうことも念頭に置く必要があります。