貧困への公的助成


貧困への公的助成を行うさいに,現金で渡すと必要な生活費等ではなく娯楽やアルコール購入に使われてしまうという問題があり,したがって一定の目的以外に使用できない工夫が必要であるという主張があります。確かに公的支出が不適切に使われているのは税を負担している側として認容できないというのは心情的には理解できます。実際にそのようなケースばかりということであれば是正する必要がある*1のでしょう。

しかし,一定の目的以外に使用できないようにするためにもコストは必要です。交換券の類であればそれほどでもありませんが容易に現金化されて効果もそれなりでしょう。といって本人認証を厳格にすれば当然そのための費用は増加します。適正な利用を行うための管理コストがあまり多いと,本来配分すべき助成が目減りしてしまいますし,必要なのに受け取れないケースが出てきたら本末転倒です。

もし助成の目的外使用が一部に限られているのであれば,根絶するためにそれ以上の管理コストをかける意味は考える必要があるでしょう。いいかえると,「許せない」という心情的な問題にはどのくらいコストをかけるべきなのでしょうか。


 

*1:助成によってアルコールなどの依存症が助長されているケースについて個別に対応する必要はあるでしょう。助成を制限するだけでは不十分と考えます。