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週刊ダイヤモンド「年金の大誤解」

年金


週刊 ダイヤモンド 2010年 2/20号 [雑誌]

週刊 ダイヤモンド 2010年 2/20号 [雑誌]

昨年11月の週刊東洋経済「年金激震」で名指しで批判された鈴木亘氏をはじめとする社会保障学者の主張を取り上げています。個人的にはまず改めて年金制度の複雑さを実感しました。理解不十分なところはあると思いますが,せっかくなので自分なりの感想を記しておこうと思います。「大誤解」しているところがあれば御指摘ください。

本特集では現行制度の問題点を指摘するのに多くのページを割いています。例えば想定運用利回りが非現実的であり所得代替率が水増しされているとか,マクロ経済スライドが十分機能しないとか,基礎年金部分が加入制度ごとに分離していて負担が公平でない,といった問題は東洋経済ではあまり触れられていなかったので勉強になりました。ただ東洋経済としては,現行制度に問題はあることは否定せず,あえて税方式に切り替えるだけのメリットがないのでは,という主張だったので,反論としてはいまひとつ噛み合っていない印象を受けました。まあ東洋経済に関する言及はなかったので直接の反論ではないのかもしれませんが。

負担が公平でないのできちんとした一階部分を作り直すべき,というのはなんとなく分かるのですが,なぜそれが税方式でなければいけないのか?という疑問に関しては,当方の見落としだったら申し訳ありませんが,今回の特集では解説が見あたりませんでした。また東洋経済では賦課方式から積立方式に切り替えることで「二重の負担」が生じ,世代間格差は結局それほど解消されない,という指摘もあったはずですが,この点への回答もなかったようでした。

そもそも年金が破綻する,というときに,制度内で負担と給付のバランスがとれなくなるという意味なのか,それともバランスはとれても給付自体が少なすぎて生活を保障できなくなるという意味なのか,どうも論者によって違うようなので気をつけていたのですが,東洋経済では前者,ダイヤモンドでは後者を指していると当方には読めました。したがって東洋経済は「破綻しない」,ダイヤモンドは「破綻する」ということになってやはり噛み合いません。

東洋経済の特集で当方がなるほどと思ったのは,公的年金はあくまで社会保障の一部であるという指摘です。年金制度内部で世代間格差を解消しようとしても,結局は給付を削減して生活が成り立たなくなった方に対する何らかの社会保障は必要になるでしょうし,であれば社会全体として年金制度だけ帳尻を合わせても意味があるのか疑問です。その意味では,制度改革だけでなく経済全体のパイを大きくすることに注力しなければならない,という池尾和人氏による見解が,本特集のなかでは個人的にいちばん腑に落ちました。