医療事故調大綱案の見直し


医療事故調、大綱案見直し 厚労政務官が意向表明 - 47news

厚生労働省足立信也政務官は23日、2008年6月に同省が公表した医療事故の原因究明に当たる第三者組織「医療安全調査委員会」(仮称)設置法案の大綱案について「そのまま成案になるということはないと考えている」と述べ、見直しに着手する考えを示した。衆院予算委員会民主党議員の質問に答えた。

民主党は野党時代の08年6月、各医療機関内に設ける委員会での「院内調査」を原則とする独自案を作成している。厚労省は今後、両案を比較しながら、原因分析を担う医療版事故調の在り方について慎重に検討を進める構えだ。

ただ、医療事故の被害者や遺族の間には、再発防止の徹底に向け中立公正な第三者組織の早期設立を求める声も根強く、足立政務官の対応には反発も出そうだ。

厚労省の大綱案は、(1)新組織の調査チームは医師や法律家らで構成(2)解剖結果やカルテの分析、関係者からの聞き取りを実施し、報告書を作成(3)標準的な医療行為から著しく逸脱した医療と認められる場合、新組織から警察に通知―などを柱としている。

しかし一部の医療関係者は、警察への通知を認めた点について「むやみな捜査介入を招く」と批判。

厚労省案のままでは原因究明と再発防止は困難ですから,一度そこから離れて議論することは必要と考えます。今後は足立政務官が以前に発表した対案が叩き台になるとすれば,以前野党の一議員として提案したときと違って,今回は本格的な批判に耐える必要があるでしょう。原因究明と再発予防という本来の主旨に沿った建設的な議論につながることを望みます。

ただ、医療事故の被害者や遺族の間には、再発防止の徹底に向け中立公正な第三者組織の早期設立を求める声も根強く、足立政務官の対応には反発も出そうだ。

足立政務官の私案で「中立公正な第三者組織の早期設立」は否定されていませんので,その点で反発が出ることはないかと思います。ところで「出そうだ」と言っているのは一体誰なんでしょうね。

あとどうでもいいですが,医療関係者のあいだでもあれだけ議論が深まったのに「むやみな捜査介入を招く」という要約ですませるのは何かこう,一種の悪意を感じなくもありません。まあ,記者側の理解がその程度であったということかもしれませんけど。

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■第三者機関の理想と現実 2008-06-24

先日民主党議員による私案が公開されましたが,その案によれば,診療に関わる死亡について,遺族が納得すれば院内で調査は終了,納得できなければ第三者機関に届け出て調査を行う,とのことです。もちろん調査機関に送られる事例を絞り込むのが患者側の意向次第というのが適切かどうかという点で議論の余地はあるでしょう。肝心の調査機関に関してはまだ詳細不明なので評価は現時点では保留しますが,少なくとも「死亡例は全部調査の対象とする」などという案よりはまだ実現可能性に配慮しているような気がします。