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乳がん検診キャンペーンの科学的根拠

報道


TBSがおこなっている乳がん検診のキャンペーン(cache)が専門的知見から問題視されているとの記事(cache)です。要望書を提出したひとりである上野先生のTwitter経由で知りました。

乳がんのため24歳で亡くなった女性を取材した番組「余命1カ月の花嫁」をきっかけに、TBSが展開している20〜30代女性を対象にした乳がん検診を中止するよう求める要望書を、医師や患者ら38人が9日、同社に提出した。20〜30代への乳がん検診の有効性に科学的根拠はなく、不必要な検査につながるなど不利益が大きいと指摘している。

番組きっかけの乳がん検診 TBSに医師らが中止要望

要望書の全文と,科学的根拠については以下のサイトに掲載されています。

専門的な知見について当方が付け加えることはないのですが,これまでの経緯を見る限り,TBSが若年女性にターゲットを絞ったのは検診による有効性云々というよりは,単純に「余命1カ月の花嫁」によって感情を動かされるであろう層だったからではないかという気がします。仮にTBSが自社の商売とは関係なく善意からおこなったことであれば,根拠がないと指摘されたらそれを認めてより有効性の高いキャンペーンに路線変更すればいいのではないかと思います*1。ところが今回の件に対するTBSのコメントは上記の記事によれば,

要望書で指摘されている点は、現在の医学界の基準的な考え方で、反論するところはない。ただ、40歳未満の乳がん罹患(りかん)者は年々増えており、あくまでも自己責任・自己負担で検査を受けることは意味があると考えている。

と,あくまでキャンペーン続行とのことです。要望書が求めているのは検診の意味というよりは,それを勧めるメディアの倫理だと思うのですが,そこは視聴者の「自己責任」なので問題ないとの見解です。

このキャンペーンにおけるTBSのメッセージとしては「主人公のような悲劇を減らすために検診を受けて早期発見しよう」ということなんでしょうけど,科学的根拠はないが自己責任で,ということなら「検診を受けても主人公の悲劇は防げ得たとはいえず,検診によって被爆などの不利益もあるけれど,それでもよければ検診を受けよう」とするべきでしょう。それなら確かに「自己責任」といえないことはありません。もっとも自分たちメディアの垂れ流す情報なんかまともに受け取るほうが悪い,という主旨であれば当方に異議はありませんが。


 

*1:個人的には対象が同じ層であれば子宮頚癌啓発のキャンペーンのほうが意味があるように思います。