映画「コンテイジョン」

新型ウイルスの流行によるパニックを描いた映画です。派手派手しい演出は控えめで盛り上がる場面もあまりないのですが,登場人物の行動を淡々と追うことで全体を通してほどよい緊張感が保たれているように思いました。感染から死亡までわずか1〜2日という短い経過ではむしろここまで広範囲に流行が広がらないのでは,と思ったりしましたがそのあたり感染症学的にはどうなんでしょう。あとワクチン接種したらもう安全,みたいな描写も気になりましたが,まあ細かいコトはどうでもいいですね。本作で目新しい点といえばソーシャルネットワークでデマと不安をまき散らす「ジャーナリスト」の存在でしょうか。体験談を捏造して特効薬の存在を宣伝したり,政府や公的機関の陰謀説を主張したりと,妙なリアリティを感じます。本作では流説を流布した動機は結局金銭目的という設定でしたが,純粋な善意から不安情報の拡散に時間と労力を費やす…という話だとそれはそれでまた救いがないような気がしなくもないですね。