総合科医とは


問題の総合科医なんですが,上でも引用した読売新聞の記事によれば

 総合科は、「熱がある」「動悸(どうき)や息切れがする」「血圧も高い」など一般的な症状の患者の訴えを聞き、適切に治療したり、専門医に振り分けたりする診療科を指す。同省では、開業医の多くが総合科医となり、いつでも連絡がつくかかりつけの医師として、地域医療を支える存在となることを期待している。

 能力の高い総合科医が増えれば、初診の患者が安心して総合科を訪れるようになり、「3時間待ちの3分診療」と言われた病院の混雑緩和にも役立つ。例えば、疲労を訴える高齢者が総合科を受診した場合、高血圧など基本的な症状の改善は同科で行い、心臓などに深刻な症状が見つかれば、速やかに専門医につなぐ仕組みを想定している。


ということで現在の一般内科開業医程度の機能を想定していることが分かります。であればなぜわざわざ総合医の認定をする必要があるのか理解に苦しむところです。憶測なのですが,医療側に対しては「総合医なんだからどんな患者でも24時間対応しなさい」,患者側には「総合医という何でも診てくれる医者を認定したからそちらを受診しなさい」という誘導をしようとしているのではないかと思います。とはいっても対応できない疾患については専門科を紹介するしかないのは現状と変わりなく,患者さん側にメリットはなさそうです(はじめから専門科を受診していれば...という不満は生じるかも知れませんが)。


個人的には新米開業医ではありますが現在でもかかりつけで状況を把握できる方については往診や訪問診療,電話相談には極力対応しています。しかし「いつでも対応するのが当たり前」となると事情は全く異なります。休んでも自分の代わりのいない診療所で常時オンコールというのは正直恐ろしいことです。診療報酬で補償はすると言われてもこれまでの数々のハシゴ外しを踏まえるとそんな甘言に飛びつく勇気はありません。勤務医であっても開業医であっても自分の能力を越えたことに手を出すと結局患者さん側に迷惑をかけることになると考えます。


新聞記事だけを読むと「結構良いこと言っている」という感想をお持ちになるかたもいるようなので,当方がこの制度に対して持っている考えをエントリにしました。医療関係者の皆さんにとっては何を今さらという内容ではあるかもしれませんが。