医療事故調査報告書の開示


医療事故:母の調査書開示請求を拒否 日医大千葉北総病院(cache) - 毎日新聞 2007年8月12日


出産後に障害が残った方の家族がたまたま病院の職員で医療事故調査委員会の開催を知り,報告書の開示を請求したが拒否されたとの記事です。一読していろいろと疑問は浮かぶのですが,ssdさんのところで充分ツッコミを入れて下さっていますので当方としては素朴に思いついたことを記すにとどめます。

これまで「事故調査委員の報告書」は「医療記録」をもとに議論した結果の「社内文書」であって開示の対象ではないと思っていましたが,間違っているのであれば当方の認識を訂正しなければなりません。三宅弁護士の仰るとおり「医療記録」に関しては患者は開示を要求する権利があるわけで,仮にその辺の対応が不充分だとするなら責められて然るべきですがこの記事では不明です。

さらに言えば,リスクマネージメントを行う上で「システムエラーとしての医療事故は個人の責任を追及しても原因解明とはならず,再発予防にも役立たない」という認識は最低限共有されているべきで,事故調査委員での議論を患者本人に開示したり,ましてや裁判の証拠に使うことは本来の目的に反します。リスクマネージメントに関する認識が低い(と思われる)司法関係者や報道関係者ならともかく,厚生労働省の方まで公開すべきと仰るのにはすこし驚きました。

ところで

産科医療に詳しい別の病院の医師

って回りくどい言い回しですが,まさか産婦人科医ではないということはないですよね。


追記:rijinさんのブログでより具体的な指摘がされています。