医師の交代勤務


医師の交代勤務を支援へ 導入病院に補助金 厚労省(cache) - 朝日新聞 2007年08月21日

 同省では、交代勤務を導入した病院に対し、こうした補助金だけでなく、診療報酬の上乗せも今後検討する。


どこまで本気なのか分かりませんが,これまで実態を見ないふりをしてきた厚生「労働」省が自ら発案するとも思えず,何らかの政治的な力が働いたのかも知れません。

以下は当方のあまり根拠のない思いつきなのでそのつもりで読んで頂けると幸いです。

実働医師が増える見込みのない状態で交代勤務にインセンティブが与えられた場合,まず思いつくのは病院同士で医師を融通することです。具体的には医師がこれまで自分の病院で日中勤務し,そのあと当直(という名の夜間勤務)に従事していたのを,日中勤務終了後に別の病院で夜間勤務し,その病院で日中勤務を終えた医師はまた別の病院へ夜間勤務へ...という感じです。移動時間や人員配置を考慮すると1対1では難しいですが複数の病院が談合すれば可能だと思います。こうすれば医師個人の労働負担は減らず(移動時間の分むしろ増大),病院は交代勤務を導入したと言い張ることが出来る*1わけです。

実際こんなにうまくいくか分かりませんが*2,経営者が本気で考えたらもっと巧妙な抜け道はありそうな気はします。結局何が言いたいかといえば,労働量緩和を「支援」してくれるのはいいとして,実際に医師個人の労働量がどのくらい軽減されたかという検証を行わないと,本来の目的を見失った法令遵守だけが一人歩きして,結局現場の負担だけが増大するのではないか,ということです。

*1:そんな阿呆なと思うかも知れませんが,厚労省自身が非常勤医師を一人分にカウントして勤務医数を水増ししていたという事実もあります。→■医師不足の基準

*2:そもそもこんなことを強要するような病院からはさらに医師が逃げ出すでしょうけど。