厚労省コールセンター


厚労省に問い合わせ殺到 血液製剤納入の医療機関公表で(cache) - 朝日新聞 2008年01月18日

 過去にC型肝炎ウイルス混入の血液製剤が使われた可能性のある約7500の医療機関名が、新聞折り込み広告の政府広報で17日に公表されたのを受け、厚生労働省の電話相談窓口には同日、問い合わせが殺到した。広告の発行数が全購読世帯数に足りなかったため、苦情も相次いだ。

 94年以前に血液製剤を投与された可能性がある人にウイルス検査を呼びかけるため政府が実施。ただ、新聞の発行総数が約4500万部(一般紙)なのに対し、政府の発注は約3千万部と全体の7割足らず。厚労省などには届かない家庭から苦情が相次いだ。内閣府・政府広報室は「事業所は配布対象に含まず、一般家庭の購読総数を推定して部数を決めた。だが実際には一般家庭のみ配布するのは難しく、3千万が適正な部数かどうか検討中だ」とする。

 医療機関に製剤投与を裏付けるカルテなどが残っている感染者は、訴訟を経て薬害肝炎被害者救済法に基づく給付金を受けられる。だが広告ではその点に触れていない。


「殺到」した問い合わせの内訳は分かりませんが,厚労省の窓口で対応できるのは「うちには広告が入っていない」ぐらいで,「15年前に手術を受けたが大丈夫か」「HCV陽性と言われているが補償は受けられるのか」といった個別の質問に関しては「当該医療施設に聞いてください」「近くの病院に相談してください」としか回答しようがありません。結果として問い合わせた方の全員ではないにしろ相当な割合が,実際に医療機関を受診することになるでしょう。


おそらく最終的にはかなりの割合の方が「救済法」に該当していないと告げられ,該当する方も救済を受けるためには証拠を手に入れて裁判所で認定を受ける必要があることを初めて知ることになると思われます。想像しただけでも相当の混乱が予想され,説明される側にとっても説明する側にとっても相当な負担です。


個人的な印象ですが,行政側が今回やったことは「一律救済します」と大々的に看板を掲げたものの,その看板の隅の方に小さい字で「※ただし裁判所で認定された方に限る」と書かれているという,ソフトバンクの「通話料0円」みたいな手法です。確かに宣伝効果はありますが,現場の担当者と当事者が対応に苦慮するのは初めから予想できることで,もうすこし何とかならなかったのかと思ってしまいます。まあ,はじめから現場に丸投げの予定だったのかも知れませんが。

追記(2008-1-18 17:50)

厚生労働省HPより抜粋。

【検査受診の呼びかけの対象者】
 ▼ 平成6年以前に公表医療機関で治療を受け、下記(1)〜(5)に該当された方
 (1)  妊娠中又は出産時に大量の出血をされた方。
 (2)  大量に出血するような手術を受けた方。
 (3)  食道静脈瘤の破裂、消化器系疾患、外傷などにより大量の出血をされた方。
 (4)  がん、白血病、肝疾患などの病気で「血が止まりにくい」と指摘を受けた方。
 (5)  特殊な腎結石・胆石除去(結石をフィブリン塊に包埋して取り除く方法)、気胸での胸膜接着、腱・骨折片などの接着、血が止まりにくい部分の止血などの治療を受けた方(これらの治療は、フィブリノゲン製剤を生体接着剤のフィブリン糊として使用した例で、製薬会社から厚生労働省へ報告されたものです。詳しくは治療を受けた医療機関に直接お尋ねください。)
 なお、三菱ウェルファーマ社のデータを基にフィブリノゲン製剤の納入先医療機関として厚生労働省特定した医療機関は下に掲載するリストのとおりですが、同社が把握しているデータは昭和55年以降のものに限られている等の理由から、今回公表された医療機関以外の医療機関でも、フィブリノゲン製剤が使用されていた可能性があります。

 また、上記対象者以外の方でも、肝炎ウイルスに感染している場合がありますので、以下の<参考>に該当する方で、肝炎ウイルス検査を受けた経験のない方には、肝炎ウイルス検査の受診をおすすめします。
 なお、過去に肝炎ウイルス検査を受診されている方は、検査受診後、新たに<参考>のような事由が生じていない限り、再度検査を受診する必要はありません。

 
<参考>  以下のような方々は、C型肝炎ウイルス感染の可能性が一般より高いと考えられています。
 a. 1992(平成4)年以前に輸血を受けた方
 b. 長期に血液透析を受けている方
 c. 輸入非加熱血液凝固因子製剤を投与された方
 d. cと同等のリスクを有する非加熱血液凝固因子製剤を投与された方
 e. フィブリノゲン製剤(フィブリン糊としての使用を含む。)を投与された方
 f. 大きな手術を受けた方
 g. 臓器移植を受けた方
 h. 薬物濫用者、入れ墨をしている方
 i. ボディピアスを施している方
 j. その他(過去に健康診断等で肝機能検査の異常を指摘されているにもかかわらず、その後肝炎の検査を実施していない方等)

後半部分は血液製剤と直接関係ないけど念のために検査をお勧めします,という主旨のようですが,かなり紛らわしく混乱を招くと思います。こうした方のスクリーニングを公費で行うのは一案ですが,今回の救済法案とは切り離して扱うべきです。