胎盤早期剥離の事例


大量出血の妊婦死亡、胎児も助からず 静岡の病院 - 静岡新聞 cache


shy1221先生のところで取りあげられているので専門的な考察はそちらにお任せします。記事を読んだ範囲では「誰がみても明らかな過誤」のようには思えないんですが…。今後の情報を待ちたいと思います。手続き上は,警察が届出を受けて司法解剖を行ったうえで事件性の有無について判断することになるんでしょうけど,個人的には,この件に関して警察の「謙抑的な対応」とやらがどれほどのものか,よく見届けようと思います。

追記(2008-05-04 06:00)

当ブログを医療関係者以外の方もご覧になっていることを踏まえて,追記しておきます。


事実関係に関しては部外者である以上,基本的には報道を通して知ることしかできません。報道は記者や編集者により情報が取捨選択されますから,当事者の知る事実を充分伝えない,時によってはねじ曲げて伝えることがあることを念頭に置かなければなりません。当方のエントリやコメントにわざわざ「記事を読む範囲では」「報道を見る限り」と付け加えているのはそういう意味でもあります。

逆に当事者しか知り得ない情報については,もちろん貴重ではあるのですが,取り扱いに十分注意する必要があるかと思います。

なお,この事例に限らず医療一般に言えることとして,「誰がみても明らかな過誤」がないことと,実際に不幸な結果になったことは矛盾せず,現実には両立し得ます。原因が「誰がみても明らかな」なものではなく,判定が微妙な場合に,なぜそのような結果になったのかという疑問に迫る手段としては専門的な調査だと考えます。そのさい刑事司法が介入することでむしろ,患者側にとっても医療側にとっても知りたいことが隠されることもある,というのが過去の事例からの教訓です。ただ,すでに司法解剖に委ねられている以上は,当方としては「謙抑的な対応」を望むばかりです。