研修医に診てほしくないというひと


夜間救急外来で研修医が対応したことに対して不満をあからさまにするひとの話題*1が最近あちこちで取り上げられてました。医師の手薄な体制上そうせざるをえない医療機関側の事情と,自分だけは経験のある医師に診てほしいという患者さん側の意識のあいだには深い溝があるんでしょう。当方も研修医時代にはそうした状況に遭遇したこともありますし,逆に患者さんから研修医に診察されたことの不満を聞くことも少なくありません。研修医ではいやだ,というひとは一定の割合でいらっしゃることが推定されるところです。


ところで自分は研修医には診てほしくないというひとは,先日全国紙で「研修医の地域別定員枠」が大きく報道されたことについてどう思っているのか,個人的に少し興味があります。記事を読む限り「地方の医師不足を解消するために都市部に集中している研修医を地方へ配置する」という方針ですから,素直に考えて「医師不足だからといって研修医なんかまわすとは何事だ」という拒絶反応が沸き起こるのが順当なのですが,現実にはそうした声はあまり上がっていないように見えます。なぜだろうという当方の疑問を合理的に説明できる仮説をいくつか立ててみたのですが,

  1. 研修医ではいやだという声は上がっているものの,圧倒的大多数の患者さんはベテランの医師でも研修医でも気にしないので,そういう発言が目立たない。
  2. 住んでいる地域は研修医が余っているので(実際にその通りかは別として)研修医に診察される可能性が低くなり好都合と思っている。
  3. 記事を読んでも,自分が研修医に診察される可能性が上がると認識していない。または,そもそもそんな報道を知らない。
  4. 医療現場のスタッフに対してクレームをつけることは厭わないが,政府に対しては文句を言わない。


当方に思いついたのはこのくらいです。仮説1が一番真っ当ですが,実際のところどうなんでしょうか。それ以外の仮説が正しいとすると,制度運用後に研修医が配属された医療現場がどうなるのか予想してみるのも興味深いかもしれません。


 

*1:あえてリンクは張りません。