マスクに対する認識


インフルエンザ流行時におけるマスクの意義は,自分がウイルスに感染している場合に他者に咳やくしゃみの飛沫を浴びせないようにすることと,感染していない方にとっては飛沫により感染を受けるリスクを下げることであって,感染している方や感染している可能性の高い方はもちろん,不特定多数の相手と至近距離で対応するような立場でもマスクをする意味はあるというのが当方の認識です。


月末ということで昼休みに銀行へ行って入金と記帳をしてきたのですが,待合室でマスクをしている方が3〜4割,それに対して窓口の銀行員は一人もマスクをしていませんでした。マスクをしている客も特に咳をしているわけでもなく,おそらく感染予防のためでしょう。でもマスクの意義を考えれば,つける必要があるのはむしろ銀行員じゃないでしょうか。


その銀行としての考え方は分かりませんが,当院を受診する患者さんからは,受付や窓口の場合だと就業中はもし咳をしていたとしてもマスクをつけられないみたいな話も聞くことがあります。マスクをして接客するのは失礼に当たるということらしいのですが,咳をしている相手がマスクをしないで対応するほうが余程マナーに反するような気もします。まあ,社会的常識に欠ける一医師の考えることなんか世間では通用しないんでしょうけど。


もしかしたら世間ではマスクをすることが専ら自分のための行為でもある,という認識なのかも知れません。本来は他者に対する配慮でもある筈のマスクを「失礼な行為」なんて思うのはそう考えれば理解できなくもありませんが,だとすれば健康なひとがマスクを買い占めるなんてのは極めて反社会的行為ということになるんだろうか…などと順番待ちのヒマな時間にぼーっと考えていました。