「医療ミス」というメディア用語2


医療事故:2歳児の静脈に空気注入 福島県立医大 - 毎日新聞 cache

会見した横山斉副病院長は医療ミスと認め、「原因を詳しく調べ、再発防止策を早急に検討したい」と陳謝した。

事故が起きてしまったことは当事者にとって不幸ですし,患者とそのご家族に対しては真摯な対応が必要になると思います。その一方で「再発防止策を検討」するのであれば,事故が起きた要因がどこにあるのか,具体的には,個人の過失,現場のシステム上の不備,不可避な因子のそれぞれがどのくらい関与しているのかを調査することが重要でしょう。


その意味ではまさに「原因を詳しく調べ」る必要があるわけですが,それ以前の段階で過失を認定してしまうのは調査そのものを困難にする危険性があり不適切だと思われます。ただし,各紙の記事を読む限りは「医療ミスを認め」としているのは毎日新聞だけなので本当にそんな主旨のコメントがあったのか疑わしいですが。


もっとも以前にも取り上げたように,ここでいう「医療ミス」という用語が因果関係とか不確定性とか事実認定を考慮せず,司法でも医療でも通用しない言葉と考えるのであればそこまで細かいことにツッコミを入れる必要はないのかも知れません。