医療費の財源問題


毎度のことながら政治経済は専門外...というより全くの素人ですので,不適切な点があればご指摘頂けると幸いです。


政治的事情により高齢者医療費自己負担が棚上げとなり,浮く筈だった分をどうやって穴埋めするかという話になっている模様です。患者が直接負担しないとなれば,社会保障目的税として広く国民から集めるか,国家予算のどこかを削って捻出するか,企業の社会保障負担を増やすか(他にもあるかも知れませんが)という事になります。

メディアの論調は,国費から追加支出するのは財政再建の方針に反するから消費税を増やそう,という流れのようです。


高齢者医療費 国費補てん 財政再建と両立なるか(cache) - 東京新聞 2007年9月27日

 高齢者医療費の負担増見直し問題は、福田政権にとって財政分野での最初の難関になりそうだ。福田康夫首相の「若者に希望を、高齢者には安心を」という方針に沿った政策だが、確実に歳出増につながる。財政再建の旗を降ろさずに、どう国民生活重視の政策を展開できるのか、福田政権の手腕が問われる。


社会保障、消費税含む改革で(cache) - キャリアブレイン 2007/09/27

 額賀福志郎財務相は9月26日に開かれた福田新内閣の初閣議後の記者会見で、社会保障等に伴う負担増について、消費税を含む税体系の抜本的な改革を進める考えを表明した。


誰がどれだけ負担するかに関しては,壮絶な政治的駆け引きが繰り広げられているのだろうと想像します。財務省だけでなく,例えば経団連が真っ先に消費税増税・目的税化を提言したことには企業の社会保障費負担の増加を避けたい意図を感じますが,仮にそうであってもそれは営利企業としては当然の行動ではあるんでしょう。

そうした各方面の利害関係を斟酌した上でうまく着地させるのが政治というものなんでしょうけど,消費税を上乗せするのに国民が納得する理屈さえひねり出すことができれば,ある意味最も政治的には楽なのかも知れません。上記の如く「消費税を上げるしか方法はない」という流れができれば大いに追い風になります。勿論,消費税を上げることが国民の大多数にとってメリットのある選択である可能性も否定はできませんが,本当にそうなのかという議論はあまり取り上げられていないように見えます。

考えてみれば今回の高齢者医療制度なるものが仮に存在しなければ医療費財源問題はもう少し先送りされていたわけで,この議論が思ったより早く顕在化したという点では不幸中の幸い...なのかも知れません。折角なので国民全体の問題としてきちんと議論されることを個人的には希望します。