自己決定とパターナリズム2

以前から気になっていた映画をアマプラで鑑賞しました。

フェアウェル(字幕版)

フェアウェル(字幕版)

  • オークワフィナ
Amazon

NYに暮らすビリーと家族は<嘘>の結婚式を口実に、余命わずかな祖母に会うために中国へ帰郷する。本人への告知を巡り対立するビリーと家族。帰国の朝、彼女たちが選んだ答えとは?

本人よりも家族による意思決定を重視する文化では、不治の病のような悪い情報を本人に知らせるべきではないという信念は根強く、このようなアジアなどにみられる「集団的な価値観(collective cultural values)」が意思決定に与える影響についてはこちらの本の中で解説されています。

こうした伝統が「患者を中心に今後の治療やケアについて話し合いを繰り返すプロセス」であるACPの考え方との間に軋轢を生むこともあります。「患者を尊重する」というコアの部分は同じですが、尊重の仕方が真逆だからです。(p.33)

つまり、本人のためという部分が「自律」を重んじる立場ではパターナリズムと批判されることになるわけですね。この作品ではアメリカで育った主人公が、まさにこの軋轢に悩む過程が描かれます。といってもコメディ寄りのエピソードが多く、気軽に観ることができます。最後の最後で驚きの展開をみせ(正直、反則だと思いますが)、少なくとも後味が悪い作品ではありません。今ならアマプラで無料になっているので、興味のある方はどうでしょうか。