ジェネリック医薬品2

 価格の安い後発医薬品ジェネリック医薬品)の使用促進をめぐる問題で、厚生労働省は17日の中央社会保険医療協議会中医協)で、医師が処方箋(しょほうせん)で指定した銘柄の後発医薬品の在庫が薬局にない場合、薬剤師の判断で医師の許可なく同じ有効成分の別の後発品への変更を認めることなどを柱とする案を提案した。診療側の委員は「医師が処方する薬を決める権利を侵害しかねない」と反発しており、調整は難航しそうだ。

(cache)後発医薬品の処方、医師許可なく銘柄変更 厚労省が提案 - 朝日新聞 2007年10月17日

 厚労省は、医師が処方箋で指定した後発薬が在庫切れだった場合、医師が処方箋に「医学的な理由から別銘柄への変更不可」などと明記しない限りは、薬剤師独自の判断で、同じ成分の別銘柄の後発薬への変更を認める考えも示した。医師が流通量の少ない銘柄を扱う特定の薬局と“癒着”するケースもあるためで、医師には別銘柄を調剤したことを後日通知する仕組みとする。

(cache)厚労省が後発医薬品の「お試し調剤」制度導入へ - 産経新聞 2007.10.17


先発品→後発品の変更というよりは,後発品→より安い後発品への変更を誘導しているということのようです。当たり前のことですが,同じ後発品の間でも含まれる基材や添加剤は異なっていて,薬効や副作用といった品質にばらつきがある以上は,後発品なら何でもいいというわけにはいきません。ということを踏まえると「医師が処方する薬を決める権利を侵害しかねない」という発言の意図が理解できるかと思います。

工業製品のように品質は落とさずに大量生産でコストダウン,であればいいのですが,実際には安い後発品ほど基礎データがなかったり問題があったときの対処がお粗末だったり,下手をすれば予告なしに生産中止なんてこともあったりして信頼できないことが多いようです。きちんと医師が責任を持って処方できるシステムであればそういう後発品は淘汰されると思うのですが,この方針でいくと低品質低価格の後発品の方がむしろ有利ということにもなりそうです。

世知辛い話をすると,事後承諾で変更された後発品で有害事象が生じた場合,法的責任は誰が負うのかという問題もあります。そんなの変更した薬剤師だろうとは思うのですが,ひょっとすると「医学的な理由から別銘柄への変更不可」という一文を入れなかったが為に責任を問われるような気もしなくもありません。そう考えると,まともな後発品を揃えている薬局と「癒着」したくもなるというものです。