専門家への信頼


患者さん(あるいは非医療者)が医師を信頼することについてはなかなか客観視できそうもないので,自分自身が他の分野の専門家を信頼できるのはどういう状況なのかについて,あくまで個人的な経験を踏まえて,少し考えてみました。


一定レベル以上の議論が成り立つためには土俵に乗るための努力が必要とされるでしょうけど,専門分野のコアな部分については,専門家と同じレベルで理解することは難しいような気がします。つまり専門性の壁とでもいうべきものがあるのでしょう。

理解しきれない部分を含めて信頼するということは,結局のところは,その専門家その人を信頼できるかにかかっているわけで,そのためには理解できる範囲でどれだけ説得力のある説明ができるかがもちろん大事ですし,内容ばかりでなく,言葉の選び方とか,議論する態度だとか,表情・仕草のような非言語的な要素まで含めて評価されることも意識する必要があるでしょう*1

重要なのはやはり時間です。理解できることを理解するための時間もそうですが,理解できないことを受け入れるためにも頭を冷やす時間は必要です。従って,時間が十分にとれない状況で信頼関係を築くというのはなかなか難しいということになります。

また現実には,はじめから特定の分野の専門家に対する先入観が強固な場合,専門家が説明すればするほど壁が高くなってしまうケースもあるように思えます。その場合は,むしろ非専門家に入ってもらって壁を低くするような作業をする方が早いのかも知れません。

*1:当方がどれだけ実践できているかは自信がありませんが。