新型インフルエンザへの理解


当院のインフルエンザワクチン接種もピークを越えた感がありますが,今年はこんなやりとりが多いです。

「この注射をやっておけば何とかインフルエンザにもかからないんだろ?」
「何とかインフルエンザって,もしかして新型インフルエンザのことですか?」
「そうそう」
「これは普通のインフルエンザのワクチンなので新型インフルエンザは予防できません」
「そうなの?新型の注射はできないのかい?」
新型インフルエンザのワクチンはまだありません」
「えっ?じゃあ流行り始めたらどうすればいいんだ?よく分からないけど怖いんだろ?」
「とにかく家から出ないことです。そのために食糧を備蓄するよう勧められてますよね」
「そんなこといっても仕事は休めないだろ?」


これくらいならかなり理解が良い部類です。インフルエンザワクチンを接種にわざわざ足を運ぶ層でこれですから,世間一般における理解は推して知るべしでしょう。政府の広報不足やメディアの関心の低さばかりでなく,衛生状態が良くなったこともありここ数十年のあいだ大規模な疫病を経験していないことに加え,そもそもインフルエンザに限らず予防接種というものに対する理解が低い,といった社会的要因が大きいように思います。あるいは過度に煽ることでパニックに陥るのを避けたいという考えもあるのかも知れません。


とはいえ,いざパンデミックが始まったときにパニックを最小限にするためには正しい理解が少しでも広がっている必要があるわけで,焼け石に水と思いながらも当方にできることをやるしかないのでしょう。