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Drコトーは総合医のヒーロー

医療政策 ネタ


厚労省元次官の辻哲夫氏が「総合医」について自説を述べられています。


時間外と往診、それが総合医の条件 - 日経メディカルオンライン(要ログイン)

今議論されている、「総合医」「家庭医」が、地域で求められるようになった背景には、社会の変化がある。死亡者のうち75歳以上の占める割合は年々増え、40年前は3人に1人だったのが、今は3人に2人。20年後には4人のうち3人になる。そのころには、75歳以上の人口が今の倍の約2000万人だ。多くの人は急性期疾患でなく、様々な慢性疾患を抱えながら老いて死んでいく。こういった人たちを地域で総合的に診て、看取りまで行う医師が必要だ。

「社会の変化」というのは高齢化だけでなく,家族や地域レベルで高齢者を支える力が低下していることも含めて考えると,社会全体でどう支えていくかという議論も必要でしょう。「総合医」「家庭医」がどのように関わっていくのかは大事だと思いますが,それだけでは高齢者を介護する個人レベルでの負担が増えていくばかりです。療養型病棟削減や医療・介護に対する低い診療報酬といった政策への総括も欲しいところです。もっともその政策を推進したご本人である辻氏にとっては自己批判になってしまうのかもしれませんけど。…というのはこれまで何度もしてきたツッコミなので今さらなのですが,注目はこちら。

総合医、家庭医は、縦割りの専門性と違って、横割りの幅の広い知識、技術が必要であり、その専門性は高い。今こそ、「Dr.コトー」などをもっとヒーローにして、「『町医者』がかっこいい」というイメージが広まってほしい。

仮にも厚労省元次官の見識が「Dr.コトーがヒーロー」というのは何というかすごいです。確かに当方も去年の今頃こういうコメントをしてますが,

そのうち「厚労省幹部が口をそろえる理想の医師は、『五島健助』だ。フジテレビのテレビドラマ『Dr.コトー診療所』に登場した僻地医師である」なんていいかねませんね。

一応ギャグのつもりだったんですが,辻氏はどうも本気で言ってるみたいですね。


以下本文引用。

今議論されている、「総合医」「家庭医」が、地域で求められるようになった背景には、社会の変化がある。死亡者のうち75歳以上の占める割合は年々増え、40年前は3人に1人だったのが、今は3人に2人。20年後には4人のうち3人になる。そのころには、75歳以上の人口が今の倍の約2000万人だ。多くの人は急性期疾患でなく、様々な慢性疾患を抱えながら老いて死んでいく。こういった人たちを地域で総合的に診て、看取りまで行う医師が必要だ。

医療界には、疾病構造の変化とともに医療の役割も変わることを認識してほしい。従来の医療は、病院中心に縦割り、すなわち臓器別で極めることに注力してきた。退院後の生活や、老いて死んでいく人々を支えるという視点が軽視されてきた。

しかし、横割り、生活も支えながら総合的に診る医療でまず受け止め、必要なときに縦割りで診るという分業が本来は望ましい。総合医、家庭医は、国際的にも一つの専門性として必要だというのが今の潮流だ。


「かっこいい」の基準を変える
こうした体制をつくるには、国全体で医療への「価値観の変容」を起こすことが欠かせない。これまでの医学界では、例えば、特定分野で最先端の論文を書くことが「優秀」であることの指標だった。大学では「総合的に人を診る」ことに対する評価はされてこなかったからだ。

レベルの高い臓器別の医療は今後も重要な役割を果たすが、それだけに偏りすぎていることに問題がある。国民もそうした医療が普通のことと誤解して、すっかり専門医志向になってしまった。

総合医、家庭医は、縦割りの専門性と違って、横割りの幅の広い知識、技術が必要であり、その専門性は高い。今こそ、「Dr.コトー」などをもっとヒーローにして、「『町医者』がかっこいい」というイメージが広まってほしい。

総合医、家庭医の理念はほぼ固まったので、あとは実践しかない。総合医として地域を支える医師をどんどん増やし、臓器別の専門医だけが偉いと誤解している現実を、なし崩し的にでも変えればいいと思う。

国民の方が本当に必要なものに気付きつつあるし、すでに、へき地や在宅医療でそうしたニーズを満たした優れた医師がたくさんいる。そういった医師のフィールドに、意欲やセンスのある若手を入れて育成していけば、日本は変わっていくだろう。


往診と時間外に報酬シフトを
私が、総合医、家庭医の役割の中で重要視しているのは往診と時間外診療だ。医療の本質的なものだと思っており、開業の先生方にはぜひ担当してほしい。時間外診療と往診を行えば、おのずと患者、家族との信頼関係が生まれ、不用意に医師を困らせたりしなくなる。そうした関係を築くには、まず医師の方から変わらないといけない。06年診療報酬改定で創設した在宅療養支援診療所で、24時間対応や往診を評価したのは、その意味を込めてのものだ。

世の中の求めに応じて努力をした人が、収入面でも評価を受けるのは当然のこと。個人的な意見だが、今の外来診療報酬体系を、思い切って時間外診療や往診にシフトさせればいいと思う。時間をかけてでも、そのような診療報酬政策を定着させ、国の方向性は変わらないということを周知徹底する。そうすればパラダイムシフトが起こるだろう。(談)

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