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あえて日本医師会を擁護する


選挙:衆院選 診療報酬、国会で決定 民主「中医協を改革」−−公約原案 - 毎日新聞

岡田氏は22日、東京都内での講演で、中医協のあり方に関して「ほとんどは税金と保険料という公的なお金なのに、国会が関与できていないのは不思議だ」と指摘した。

中医協の委員は労使ら「支払い側」、医師ら「診療側」の両利益代表と学識経験者ら中立の「公益委員」で構成される。岡田氏は「診療側」代表の日本医師会について「医師会は開業医中心だ。利害関係者が自分たちの取り分を決める政府の制度は他にない」と指摘した。

党幹部は中医協改革の意義について「医師会などから抵抗が予想されるが、政権交代するからできる」と強調した。中医協のあり方を巡っては05年衆院選マニフェストでも「すべての関連会合を原則公開」との文言が盛り込まれていたが、07年参院選マニフェストでは消えていた。

中医協という厚労省の方針を追認するに過ぎない機関は国会がコントロールする必要がある,ということであれば民主党の主張としては矛盾はないのかも知れませんが,岡田氏の上記発言を伺うと「開業医を中心とした医師会が自分たちの利益に反する中医協改革に反対する」とのことです。つまり現状の中医協は医師会の利益にとって都合がよい機関ということになります。


当方としては日本医師会の肩を持つのは色々な意味で気が進みませんが,少なくとも前回(2008年)の診療報酬改定の際に,中医協の場で医師会側があえて自分たちの利益に反する合意を行っていることは指摘しておきます。

診療報酬改定、勤務医対策に1500億円・開業医向け移譲 - 日経新聞

厚生労働省が検討中の病院の医師不足解消対策の原案が28日、明らかになった。2008年度の診療報酬改定で勤務医に関する報酬を総額1500億円規模引き上げる方向。財源は診療報酬本体の引き上げによる収入増に加え、開業医向けから400億円程度を移譲する。

この原案に沿って医療側,支払側が議論した結果,最終的には公益側が裁定案を示して両者が受け入れることになります。

診療所を悪者にする論調は心外 - キャリアブレイン

医科部分のプラス改定に伴う新しい財源はすべて病院医療に回され、さらに病院勤務医の過重労働対策のために、医療費ベースで約400億円を診療所から病院へ財源移譲しました。外来管理加算が見直されて診療時間の「5分ルール」が加わり、デジタル映像化処理加算の廃止も決まった。このほか、軽微な処置の基本診療料への包括化や、検体検査判断料の引き下げも決まった。診療所の先生の間には、「プラス改定のはずなのに、なぜ減収になるのか」という不満が広がっています。

これだけをもって「医師会は自分たちの利益を追求しない」とはもちろん言えませんが,医師会の利益のためには現状の中医協が好都合,という主張に対する反証にはなるでしょう。少なくとも,この事実を知った上で無視するのはフェアではありません。逆に知らずに本気で上記の主張を行っているのであれば,今後医療政策を担うつもりのある政党としては明らかにリテラシーが不足していますし,その程度の情報収集力で中医協を国会でコントロールするという意気込みには不安を覚えざるをえません。


バランスをとるために付け加えると,医療政策に対するリテラシーが不足しているのは民主党に限りません。麻生総理大臣が「予防による医療費削減」という医療経済学的には根拠のない主張(厚生労働省の主張でもあります)をしていた*1ことも記憶に新しいところです。