「風のガーデン」最終回


本日最終回でした。※ネタバレあり


主人公の膵癌が進行して最終的に在宅で亡くなるわけですが,その一歩手前の,なんとか会話ができる段階の演技がかなり真に迫っていて驚きました。おそらく役作りのために相当減量していたのに加え,メイクの技術もあったんでしょうけど,空ろな表情といい聞き取れるぎりぎりの弱々しい口調といい,まさしくターミナルのそれです。

最後の最後で亡くなる瞬間をどうやって描写するのだろうと思っていたら,テロップで「○月○日永眠。享年○○才」とだけ示され,直接的な表現は回避していました。とはいえ死を前にした苦痛と悲しみはほかの場面で十分表現されていましたから,亡くなる瞬間にBGMで盛り上げて,なんて陳腐な演出をしなかったのは賢明な判断でしょう。

日常生活から「死」を過剰に排除することによっていざ死を前にしたときに受け入れられないという面はあるのでしょうけど,その一方でフィクションの中であまりにも記号化された「死」があふれると,現実の死との間にギャップが生じるようにも思え,そのあたりのバランスは簡単ではないとは思います。


最後の緒形拳さんを偲ぶメッセージは,ドラマ中の役を重ねるとやはり感慨深いものがありました。改めてご冥福をお祈りいたします。