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週刊東洋経済「年金激震」

読書 年金


立ち読みしたら面白そうなので買ってみました。業務に追われ時間がなかったため読めたのは1週間遅れでしたが…。

週刊 東洋経済 2009年 10/31号 [雑誌]

週刊 東洋経済 2009年 10/31号 [雑誌]


年金のしくみや職種別シミュレーションといったありがちな企画もありますが,一番の見所は「年金は破綻する」という主張を「経済前提が甘い」「世代間不公平論」「公的年金債務超過論」「積み立て方式移行論」「未納増加による破綻」「基礎年金の税方式化」に分類して一つずつ反論していく記事です。民主党や大手新聞はもちろん,経済学者の個人名まで名指しして批判しています。


これを読んだからといって公的年金を全面的に信頼するというまでには至りませんが,「年金が破綻」という論を見たときには少なくとも何をもって「破綻」と呼ぶのかという点と,その前提となる経済的な条件はキチンと確認する必要があるんだろうな,と個人的には思いました。公的年金はあくまで社会保障の一部であって,そこだけで帳尻を合わせても結局は他の社会保障にしわ寄せがいくであろうことも,言われてみたらその通りです。


年金記録問題に関しても処理担当された方が詳細に解説されていて興味深いです。問題の所在としてメディアで糾弾されたような隠蔽体質や意図的なサボタージュというよりは,人員の不足,とくにプロジェクトを運営する企画系官僚の不足と,セクショナリズムにより全体最適化が阻害されている点が重要であるとしています。また,職員個人がまじめに働いても一定のエラーは生じると考えればそれをチェックするしくみが必要なのに,年金給付直前になって本人が確認すればいいという「裁定時主義」を取っていたことで問題が大きくなったことを指摘しています。つまりはシステムエラーの要因がかなり強いわけで,今後は職員個人の責任追及だけでなく,そのあたりに切り込んでいけるかどうかに注目する必要がありそうです。

追記(2009-11-5 15:10)

記事中,名指しで批判された経済学者のお一人である鈴木亘氏がブログ上で反論を行う予定とのことです。学術的な議論がされることで,専門外の当方にとっても理解が深まる良い機会になればありがたいと思います。
週刊東洋経済の取材姿勢に対する疑問 - 学習院大学教授・鈴木亘のブログ(社会保障改革の経済学)