4月は減収
日本医師会は5月28日、2008年度診療報酬改定を受けて実施している緊急レセプト調査の4月速報値を公表した。総点数は、前年同月に比べ診療所が3.04%減少したのに対し病院は1.65%の増。全体では0.52%の減少となった。
当院に関してはこの4月は前年比で大幅減収でした。受診数も減っています。知り合いの開業医の先生に聞いても同様のようです。今回の診療報酬改定では「勤務医対策」として増分を病院に配分することになっていましたから,病院と診療所の医業収入の差が開くことは,ある意味想定内ではあります。むしろ日頃から「開業医の利益代表」と見なされている医師会は,身内である開業医に犠牲を強いたことを外部にアピールすべきでしょう。ただ,全体として収入が減っているのは診療報酬の改定だけでは説明がつきません。
考えてみたのですが,受診されなかった患者さんに理由を聞くことはできないので,受診された患者さんとのやりとりから想像でモノをいうしかないのですが,やはり後期高齢者医療制度の影響があるのではないかと思います。実際に保険料が上がって経済的負担が増えたかただけでなく,負担は同じでも年金から保険料が天引きされたことや,メディアによる情報の洪水によって,受診にお金を使うことに抵抗を感じたかたもいらっしゃるのではないかと想像します。
もちろん4月は受診を控えても翌月以降はまた受診するという可能性もあるのでもう少し経過を見ないと何とも言えませんが,もしこの傾向が永続的に続くようなら,医療費削減という立場からみれば,少なくとも短期的には,目的はある程度達成されたことになります。もちろん治療が必要なひとが受診を控えているのであれば長期的にはその弊害が表面化してくるでしょうし,場合によっては医療費がむしろ増大する結果になるかもしれませんが。