2014年後半のまとめ

久しぶりの更新となってしまいました。本業では在宅不適切事例の適正化 - Dr.Poohの日記でも取り上げた通り訪問診療の単価が切り下げられた一方在宅医療の需要は着実に増えており,別に在宅専門というわけではないのですが,なんだかせわしない半年でした。地区医師会でもそのあたりをどうにかしないといけないということで話が進んではいるのですが,まあいろいろと大変です。地域包括ケアとの絡みで,来年あたりから全国各地で同じようなことで悩む方々が増えてくるんじゃないかと思います。

ということであまり読書や映画観賞もできない一年でした。iPad mini電子書籍は溜まっているのですが,半分以上が未読のまま。年始年末で何とか消化したいところです。

今年の一冊

知ろうとすること。 (新潮文庫)

知ろうとすること。 (新潮文庫)

 

 原発事故の影響について糸井重里氏と物理学者の早野龍五氏の対談をまとめた一冊です。原発事故の話題だけでなく,専門家と非専門家のあいだでなされるリスクコミュニケーションについて掘り下げられた議論がされており,大変興味深く読みました。客観的な説明で払拭できない不安に対しては個別の対話が大切になる,という点は実際に関わった方の言葉だからこそ重みを感じるし,医療現場での個人的経験を踏まえても納得できました。関係ないですが,本書のタイトルはおそらくきっと「知ろうと」を「素人」にかけているんですよね。

今年の一本

 映画館で観たかったのですが時間が合わずに断念。結局iTunes storeで購入,自宅で観賞しましたが,それでも強烈な体験でした。奇想天外なストーリーがあるわけではないし(途中でちょっと驚く仕掛けがありますが),むしろ繰り返し鑑賞するためには手元にあったほうがいいのかも。観ているあいだは没入してあまり何も考えずに現実世界から離れることができるので,精神的にダウンしているときに気分がリセットできて便利です。そういう意味で個人的には「WATARIDORI」とかと同じカテゴリーの作品。

 

というわけで本年の日記はこれで終了です。来年は何回エントリを更新できるか分かりませんが,せめて今年より増やしたいと思っています。一年間ありがとうございました。

仕事始めとブログ始め

あけましておめでとうございます。

本業も一応仕事始めなのですが,ただでさえ個人事業主で休みの境界があいまいなところに年末年始にもぼつぼつ呼び出されたりしていたせいか,あまり正月明けという気分でもありません。仕事量にも結構波がありますから休めるときに休むという方針でなんとか今年も乗り切りたいと思います。

前回の診療報酬改定で新設された強化型在支診ですが,当院でも近隣の病院から提携の話があって申請することになりました。とはいっても病院側はバックベッドの提供が主で在宅に関しては基本的に自院で対応する点でこれまでと大きく何か変わるわけでもなさそうです。おそらくは同じ地域内に在支診が複数あるような都市部で活用されることを想定した制度であって,当地域のような田舎では恩恵が少ないのはある意味仕方ないでしょう。

考えてみると国が今さかんに推している地域包括ケアというのも,ある程度人口の密集した地域で多数の患者と多数の医療機関をうまく連携させようとする(実際うまくいくかは別にして)ための仕組みと言っていいと思います。今後の10数年で高齢者が溢れて問題になってくるのはいわゆる僻地よりもむしろ都市部あるいは都市近郊であろうことを考えれば分からなくもないのですが,逆にいうと過疎地域では連携そのものが困難なわけで,国の方策に乗るだけでなく独自に工夫していかないといけないわけです。

…という現実を前に自分が大それたコトをできるわけではないのですが,昨年あたりから各方面の方々とお話できる機会も次第に増えてきたので,とりあえず手の届く範囲でやれることをやっていくことになりそうです。あまり足を突っ込んで本業以外のところで首が回らなくなるのは困りますが…。

というわけで,本業もブログ更新になるべく差し障りのない範囲で頑張りたいと思います。今年もよろしくお願いします。


 

開業5周年


医局を脱出して現在の診療所を継承開業して丸5年がたちました。5年ともなるとさすがに不慣れで迷う場面も少なくなりましたが,本業の診察の業務量に加えて押しつけ…じゃなくて依頼される仕事も増えていることもあり,あまり余裕があるような感じはしません。一応経営者なので税務とか会計とか労務管理も(もちろん専門家に相談しつつ)自分でやっているのですが,こちらもなかなか一筋縄ではいかないです。今のところ指導も摘発もされておらず大きな問題はないとは思いますが。大きな声では言えませんが,根本的なところで開業医に向いていないんじゃないかという当初からの疑問が拭いきれないところです。密かな楽しみは,5年経ってようやくリースが切れたレントゲン機器の更新です。旧式の現像装置は現像液を交換したり定期的に洗浄したりするのが大変で水回りの配管トラブルも多く,CR導入は念願でした。現在2社まで絞って検討中ですが,買い物全般がそうであるように,こういうのは選んでいるときが楽しいんですよね。