事業仕分けと社会保障政策


あくまで報道を踏まえた個人的見解ですが,事業仕分けによってこれまで手付かずだった公的機関の運営が見直される契機になるとはいえ(その効果を見極めるにはある程度の時間がかかると思われます),当初謳っていた原資が捻出できない時点で,現政権において「行政の無駄をなくせば増税しなくても公約が実行できる」という期待に応えることは失敗したということになるのでしょう。

ではこれからどうするかとなったときに,「もっと厳しく仕分けすれば公約は実現可能」と考える向きもあるでしょうけど,個人的には「負担を増やさずに給付を維持するなんて公約自体がそもそも実現不可能」という発想に切り替わってもよさそうな気がします。その場合,今度は実現可能な政策として選択されるべきなのは「低負担低福祉」なのか「高負担高福祉」なのかという問題になります。

こういう状況を踏まえてか民主党の中でも「増税が必要」という意見(つまり高負担高福祉)が出ていますし,自民党内部では以前から「低負担低福祉」と「高負担高福祉」の呉越同舟状態でした。つまり民主党自民党の双方に相反する主張が混在していて非常にややこしいことになっているわけです。選挙権を行使する側としては,少なくとも社会保障に関しては希望する政策にふさわしい政党を選ぶことがなかなか難しいという,かなり困った話だと思うのですがどうでしょうか。